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一 章 まず、ハルヒを取り巻く懲りない面々の近況を伝えておこう。 SOS団サークルが大学でも大暴れすること四年間。過去に上映した映画のリバイバル、続編の撮影、この世の不思議を求めて日本各地を旅行。野球、サッカー、剣道柔道合気道、学内外のスポーツサークルに挑戦状を叩きつけ、泣きすがる部員を尻目に看板をかっさらって帰ったのはまだまだ序の口。部費捻出のためのあやしげな営業活動に渋面の教授陣もさることながら、処置なしと見た大学当局からなんのお叱りも受けずに無事卒業できたことは、長門、古泉各方面の協力(いや圧力)に感謝すべきだろう。 ハルヒはいくつか内定を取った企業のうち、もっとも給与条件のいい会社に入ったようだ。大手食品会社の商品企画なんてのをやっている。ハルヒらしいといえば、あいつらしい仕事だが。あいつが毎日スーツを着てデスクワークをしている様子は、ちょっと想像しがたい。噂では商品キャラクタの着ぐるみを着て営業に回っているとのことだ。そういえば就職してからずっと髪を伸ばしている。髪を結ぶリボンの色を毎日替える宇宙人対策を、入社式からずっとやっていたらしい。 長門は大学からそのまま大学院に進んだ。高エネルギーだか素粒子物理だかの理学博士課程にいる。俺はてっきりハルヒと同じ会社に入るものと思っていたが、聞くところによるとこれもハルヒの行動を予測してのことらしい。 古泉は、あいつは、そのまま機関で働くことになった。バイト待遇から正社員になったようだ。相変わらず閉鎖空間で神人を追いかけている。俺たちが就職してからはあまり会っていない。 俺はといえば、たいして就職活動をしていなかったにもかかわらず、内定を取って無事サラリーマンに落ち着いている。大学の専攻とはまったく関係なかったが、参考書やら学校教材を出版している会社に入った。有名塾の先生に執筆を頼み、原稿をチェックしてDTPにまわし、版下が完成したら印刷所にまわす。まわさないのは皿くらいなもんで、まあ編集のはしくれみたいなことをやっている。スケジュールさえ守れば残業もないし、休日出勤もなし。楽っちゃ楽だ。 それから半年が経ち、俺は社会のしがらみの中でどうやらこのまま歳を重ねていくことになりそうだと、一種の安堵感に浸りつつあった。ハルヒが就職してからSOS団の活動も下火になってゆき、たぶんこのまま先細って、あのときはあんなバカなこともやったよなぁなんて全員で思い出に浸れるようになるんじゃないかという夢のようなものさえ見ていた。メンバーに会うペースも二週間、三週間と少しずつ間が伸びてゆき、一ヶ月に一度というサラリーマン的キリのいい回数にまで減った。 もういいかげん、ハルヒの奇矯な行動に振り回される役柄を引退してもいい頃だ。なんて甘いことを考えていた矢先にハルヒによって全員集合をかけられたのは、通り過ぎたはずの台風の進路が逆行して戻ってきてしまったときよりも精神的ダメージが大きかった。 「いよっ、みんな元気そうね」 お前にはこれが元気に見えるのか。会社が引けてからハルヒにいつもの喫茶店に呼び出されて俺が憂鬱になっているところへ、長門と古泉が現れた。 「……」 「皆さんお久しぶりです。涼宮さんもおかわりなく」 長門とはほぼ毎日会っているが、古泉の顔を見るのは久しぶりだった。どことなく貫禄がついた気がする。 「さすがは涼宮さんですね。団長、超監督、名探偵、編集長と来て、次は社長ですか」 ハルヒのトレードマーク、赤い腕章はすでに社長になっている。 「これからはベンチャーよ。生き馬の目を抜く高速道路の現代社会を生き残るにはこれしかないわ」 最近は休日の高速道路並に渋滞している気もするけどな。 「大賛成です。涼宮さんのような逸材が企業の一歯車として働いているなんてもったいなさすぎます。ここはひとつ、新しいビジネスチャンスをつかみましょう」 「で、なにを売るんだ?まさか宇宙人、未来人、超能力者を探し出して売る会社とか言うんじゃないだろうな」 自分で言いながら笑いをこらえきれないでいると、古泉と長門の顔がピクと引きつった。ここに朝比奈さんがいたら眉を寄せたことだろう。 「それをみんなで考えるんじゃないの」 「順序が逆だろうが」 「あたしもいろいろ考えてみたわよ。パーティ向けのケイタリングとかどう」 「誰が料理を作るんだ?」 「もっちろん、あんたたちでよ。あたしは取締役社長兼営業。古泉くんは秘書兼営業部長ね」 即、廃業だ。長門が早速料理のレシピ本を読んでいる。気が早いぞおい。 「とりあえず必要なのは事務所よね。この際だからボロい雑居ビルでもいいわ」 「まあ待て。登記の仕方とかも調べなきゃならん。少し時間をくれ」 「あんたの専攻、経済学だったわね。お役所関係は面倒だからキョンに任せるわ」 「経営学部とは違うんだがな。まあまったくの専門外ってわけでもないが。まずは事業内容をはっきりさせてくれ」 「そうねえ。あんたたちも何かアイデア出しなさいよ、即採用するわ」 ハルヒは鞄から分厚い本を何冊も取り出した。タイトルを見ると、起業入門、はじめての起業、会社ひとりでできるもん?俺たちにこれを読めってのか。さっそく長門が一冊手にとってパラパラとめくりはじめた。 俺はチラと長門を見た。流行には遅ればせだがIT系でもやるかな。長門テクノロジーで。大学院とかけもちでたいへんだが、こいつだけが頼りだな。あるいは朝比奈さんに頼んで時間旅行代理店でもやるとか。古泉には……、機関に金を出させるか。あんまり機関には負担をかけたくはないんだがな。 ハルヒが持ってきた漫画で読む起業ガイドとかいう本をさらりと読んでみたが、いきなり株式会社ってのもありらしい。俺はてっきり、同好会から研究会へランクアップするみたいに、有限会社からがんばってステップアップするのかと思っていた。今は有限会社ってのはなくなって株式会社に吸収されちまったらしい。それ以外に有限責任事業組合とか、やたら長い名前の法人が増えちまってる。 今はお金がなくても株式会社を作れるようで、一円起業とかいうのも可能だと書いてある。要はアイデア次第。入る金と出る金の収支が安定したら出資者を増やしていく。さらに資金調達が必要なら株式市場に上場してもいい。 「なるほど。最終的には一部上場か……」 「一部じゃなくて全部上場しましょうよ!」 いや、そういう意味じゃなくてだな。 ともかく、会社を興すにはハンパじゃない量の書類作成が必要らしい。誰かがレクチャーしてくれるとありがたいんだが。 「古泉は税理士の知り合いはいるか」 「ええ。身内にいます」 「ちょっと知恵を借りたいんだがな。登記に必要な手順やら節税やら」 「分かりました。手配しておきます」 手配って身内に使う言葉じゃないだろ。 「さすが古泉くんね。じゃあキョン、後は頼んだわよ」 まったく、考えつくだけで面倒なことはすべて俺任せじゃないか。高校のときとまったく変わっとらん。いっそのこと閉鎖空間を発生させてストレス解消してくれたほうが助かったんだが。 ハルヒに呼び出されて起業宣言を聞いた帰り道、古泉からちょっと話せないかと電話がかかってきた。まあ暇なんでさして問題はないし、それにこいつの近況も聞いておきたい。 俺は長門を連れて、駅前のファーストフード店で古泉と待ち合わせた。 「お二人さん。改めて、ご無沙汰しております」 「よせよ、そんな社交辞令みたいなあいさつは」 「お互いにもう社会人ですからね。親しき仲にも礼儀あり、それなりの自覚を持たなければ」 などと耳の痛いことを言う。そんな固いこと言わなくても、俺たちは仮にも同窓生だろ。 「最近どうしてんだ?機関のほうは相変わらず忙しいのか」 「それも含めてお知らせしたいことが。ここ半年間、涼宮さんの能力開放が激減していまして」 それは前にもあった。高校二年の二月ごろだったか。あれは単にバレンタインデーに向けての下準備というか、安定期だったというか。それが終わるとまたいつものあいつに戻ったよな。 「閉鎖空間の発生も、神人の発生も、もう片手で数える程度になっています」 「そんなに減ってるのか」 「長門さんはご存知かもしれませんが」 古泉は長門を見た。長門は少しだけうなずいた。 「最後に閉鎖空間が発生したのは二週間前です。それも真っ昼間に」 「閉鎖空間が発生しないのはいいことじゃないか」 「ええまあ。それだけではなく、神人が発生しません」 「神人がいない閉鎖空間?アレが消えないと閉鎖空間は消えないんじゃなかったっけ」 「通常はそうです。一ヶ月くらい前でしょうか、いつものように閉鎖空間に入ってみたところ、いつまで待っても神人が現れることなく待ちぼうけを食わされました」 「それで、閉鎖空間はどうなったんだ」 「三十分くらいで消滅しました。神人を発生させるだけのエネルギーがなかったようです」 「ハルヒにしちゃ珍しい不完全燃焼だな」 「ええ。くすぶっているだけならまだしも、突然消えてしまうので我々も戸惑っています」 「そういうときのハルヒってどんな具合なんだ?」 「観測ではイライラと上機嫌のわずかな間を行ったり来たりしているというか」 古泉はそう言って人差し指をバイオリズムのように上下に振ってみせた。 「大人になって突発的な感情の起伏が減った、ってことじゃないのか」 「それだけならいいんですが、閉鎖空間というのは涼宮さんの中の常識とエキセントリックな世界を好む願望とのバランスが崩れるとき、ストレスを感じてあの空間が生まれるんです。これは僕たちに能力が与えられてから今までずっとそうです」 「だったらなおのことだ。常識が勝ってハルヒが安定してきてるのはいいことじゃないか」 古泉は俺の顔をじっと見て、少し考えてから論点を変えた。 「考えてみてください。人間が願望を持たなくなったら、どうなりますか」 「まるで俺のことを言われてるようだな」 「いえいえ、一般論としてです」 古泉は汗をかきかき手を振って否定した。 「そんなことになったら夢も希望もない、だるいだけの毎日になっちまうだろうな」 「それは涼宮さんにも当てはまることです。彼女の場合、夢も希望もないということは能力を失うということなんです」 俺はうーんと唸った。ハルヒが能力を失うようなことになったら、ただの女子高生、じゃなくてただのOLになっちまう。どう考えても大歓迎すべき事態じゃないか。それがなぜ古泉や機関にとって懸念材料になるのか分からん。 「この状況を鑑みて、機関の幹部では組織の縮小を検討しています。すでに現場の人間を残して、管理職の人間を当初の三分の一に減らしています」 「機関もリストラか」 「喜ぶべきか、悲しむべきか。そうです」 俺は暇を持て余してぼんやりとプレステをしているCIA職員を思い浮かべた。 「このままでは僕もトラバーユを考えなければいけませんね」 しかし今から就職活動をするのはきついだろう。機関じゃ待遇よさそうだし。 「まあ、食っていけるならどんな仕事でもしますよ。涼宮さんに雇ってもらえる道も開けそうですし」 お前こそ夢がないぞ。もっと志を高く持て。 「それはともかく、涼宮さんの夢と希望によって僕たちは存在を許されている。長門さんも、ここにはいない朝比奈さんもそうでしょう」 長門はどう思ってるんだろう。こいつの本来の仕事はハルヒを観察することだ。 「……涼宮ハルヒが能力を失えば、わたしは任務を終える」 「とすると、上に帰っちまうのか」 「……分からない。それについてはまだ検討段階ではない」 ということはまあ、時間的余裕はあるってことだな。俺はすぐにでも長門が帰っちまうのかと想像して少しだけ焦った。 「長門さんは涼宮さんの最近の様子についてはどう思われますか」 「……涼宮ハルヒの思念エネルギーには、大きな波と小さな波がある」 「なるほど。今はどのような位置にいるんでしょうか」 「……中長期的に見れば、今は大きな波の谷間にいるだけ」 「ということは、これからパワー増幅する可能性が高いと」 「……そう。でもこれは、わたしの憶測に過ぎない」 二人とも怖いことを言う。まさかこれからハルヒが大暴れするとかいうんじゃないだろうな。 古泉の懸念はもっともかもしれんが、そっちのほうはあいつらに任せておいて、とりあえず俺はハルヒから出された宿題をこなすことにするか。 さて、起業の手順だ。古泉の知り合いというとすぐ機関のメンバーを思い浮かべるのだが、やってきたのは思ったとおり多丸圭一氏だった。この人は実際に機関の関連会社を経営してる人らしく、いろいろと相談に乗ってもらった。 「どうも多丸さん、その節はいろいろとお世話になりました」 「久しぶりだね。元気にしてたかな」 「おかげさまで、ハルヒの有り余る元気のせいで今回も振り回されています」 多丸氏は昔と変わらず、はっはっはと笑った。 「それで、なにをする会社なのかな?」 「それがまだ決まってないんです」 俺は眉をハの字に曲げてみせた。俺がハルヒのパシリなんだってことは雰囲気的に分かってくれるだろう。 「そんなことだろうと思ったよ。まあなにをするにせよ、お役所でハンコさえもらえばどうにでもなるからね。面倒なのは最初だけだ」 機関の人だけあって、ハルヒの特性を知ってくれているのはありがたい。 会社ってのは仮にも法で定められた集団で、かつてのSOS団みたいに、勝手気ままに思いついたことをなんでもやりますみたいな申請は無理だろう。活動内容やらそれに関わる人やら、それからお金の入手先やら使い道やらを決めておかないといけない。実際にどうなるかはともあれ、書類上できちんと明記されていないと認めてくれないのがお役所の慣わしだ。 「経営者の所得は年間どれくらいを見込んでるのかな。一千万円を超えそうなら株式会社のほうが税金的に有利だけど」 「ハルヒが言うには株式会社のほうが聞こえがいいんで、そうしろと」 「はっはっは。まあ好き好きかもだね。最初は個人事業のほうが手続きが簡単でオススメではあるんだけどね」 「なんせ形から入るやつですから」 「彼女ならなにかでかいことをやりそうだし、最初から株式会社にしても差し支えはないだろうね。途中で法人の種類を変更するとそれだけ手間も発生するし。大は小を兼ねる、とも言うしね」 「はあ、そんなもんですか」 株式会社というのは、金を出す人が会社の持ち主で、社長はその株主から経営を任される。最近は社長ひとり株主ひとりという最少人数でもOKらしい。設立を届け出るのは法務局で、会社内の決まりごとを書いた定款やら設立するときの議事録やら分厚い書類を提出させられる。書類を重ねる順番まで決まっているらしい。 「書類の用意は私が手伝ってあげよう」 「はぁ、助かります。そこがいちばん厄介な部分なんで」 「まずは事業内容を決めることだね」 「そうですね。ハルヒにさっさと決めさせてきます」 翌日から、会社が引けるとハルヒとその他のメンツを呼び出すのが日課となった。どうでもいいがその腕章、外ではやめてくれ。 「で、屋号はどうすんだ。SOS団か?」 「当然じゃないの」 「じゃあエス・オー・エス団株式会社でいいのか?」 「響きが悪いわね。株式会社エス・オー・エス団、これね。前株でいいわ」 どっちも似たようなもんだが。 「あとは事業内容だが。世界を大いに盛り上げるとかそういう抽象的な内容だと申請に通らないぜ」 「分かってるわよ。あたしだってベンチャー本はひと通り読んだつもりよ」 ほう、ちゃんと予習はしてるみたいだな。 「で、目的は?」 「教えるわ。この会社の目的!それは、」 ハルヒは、あの日と同じように大きく息を吸った。ドドン。どこかで太鼓が鳴ったような気がしたが、気のせいか。 「タイムマシンを開発して時間旅行をすることよ」 な、なんだってー!!俺の脳裏にΩマークが四つほど並んだ。その場にいたハルヒ以外の全員が真っ先に朝比奈さんを思い浮かべたにちがいない。朝比奈さん、もしかしてあなたはその関係者だったんですか。 「さすがは涼宮さんですね」 古泉、お前はそれしかないんか。 「そんな前例のないもんが申請の書類に書けるわけがないだろ」 「前例がないから作るのよ。テクノロジーは日進月歩爆走中よ。昔の人は言いました、光陰矢のごとしよ」 「そんなもん簡単に作れるかよ。仮に作れたとしてもだな、それまで利益なしだろう」 「だいたいねえ、人類は月にまで人を送ったことがあるのに、なんで未だにガソリンを燃やして走ってるわけ?二十一世紀になって十年は経つってのに、いまだに化石燃料が主流なんて遺憾を覚えるわ。もう道をテクテク歩くだけの技術は無用よ。これからは時間移動の時代なの」 聞いちゃいねー、さらに言ってることがよく分からん。すまん、誰か頭痛薬をくれ。 「時間旅行で社員を養えるのか」 「ちっちっち。未来や過去に行けばいろんな珍しいものがあるわ。それを運んできて売れば大儲けよ」 やれやれ。ハルヒが金儲けに走り始めたか。 「よくいるでしょ、考古学者のくせに発掘品を売りさばいてるやつ。キリストの聖杯とか、埋蔵の宝石とか」 「そりゃ映画の話だ。しかも盗掘と変わらんじゃないか」 「それに未来から技術を持って帰れば売れるしね。時間旅行さえできれば、お金なんて後からでもついてくるわ」 職種からいってあんまりカタギじゃなさそうだな。株式会社窃盗団にでも名称変更したほうがいいんじゃないのか。 ここで少し会社登記の話をしよう。 一円起業とは言っても登記申請には税金なんかで二十四万円ほどかかる。お役所がらみはタダじゃないんだ。会社を作ったあとにかかる税金は所得税、法人税、住民税、事業税なんかがあるが、できれば税金は安いほうがいい。個人と違って会社は税金が優遇されることが多いらしい。節税のために会社を作る人までいるくらいだし。 資本金が一千万以下の場合は消費税が二年間免除される。税金を申告するときに最初の年度の赤字を七年間繰り越してもいい、みたいな甘い制度もある。 資本金を誰に頼むかはまだ決まっていないが、現物出資といって、自分の手持ちのパソコンやら車やらを持ち込んで資本金代わりにしてもいいらしい。五百万円までなら書類で申告するだけでOKだ。 株式会社だから株券を売るのかと思っていたがそうでもないらしい。株券の実物が必要なのは株の譲渡OKな『株式公開会社』を作る場合。うちは株式の譲渡が自由にはできない『株式譲渡制限会社』にする予定だから、勝手に株を売られたりはしないことになる。株主が会社を手放したいときにだけ、経営陣が承認して発行する感じか。会社を作る発起人はそれぞれ一株以上は買わないといけない。つまり俺も買わされるわけだが、別に平社員でもいいのにな。 登記書類をまとめて持っていくのは法務局だが、ほかにも公証人役場、税務署、都道府県の税事務所、市区町村の役所、労働基準監督署、社会保険事務所なんかにも行かないといけない。しばらくはあちこちを奔走することになりそうだ。そうそう、取引銀行に口座も作っとかないとな。 会社用のでかい印鑑も作らないといけないが、この辺はハルヒにやらせよう。あいつは腕章とかネームプレートとか名刺とか、アイデンテティのあるものが好きそうだからな。 「はぁ……」 ハルヒが大きく溜息をついた。いつものハルヒらしくない。また昼飯をおごれと言われてイタ飯屋に出てきた俺だった。俺は猿でも分かる起業入門を読みながら横目でハルヒを見た。 「どうしたんだ?」 ハルヒがなにか新しいことを考え付くときはたいてい、台風がやってくる前日の天気予報のように、わけの分からない期待感と開放感とそれから高揚感とがいい感じにミックスされて、今しも超新星が生まれそうなガス星雲の中にいるような気配がするもんだ。それがこの倦怠とあきらめ交じりの溜息。吐く息が文字化すれば、やれやれとでも浮かんできそうだ。やれやれは俺の専売特許のはずだが。 「なんでもないわ。ただね、なんとなく疲れたというか」 「就職して半年でそれかよ。ちょっと甘ったれてんじゃないのか」 「あんたにしちゃきついこと言うわね」 ハルヒは頬杖をついてこっちを見る。どうも、瞳にイキイキ感がない。 「そうかな。じゃあ聞くが、これから起業しようってのになんでそんな溜息ばっかりなんだ」 「学生の頃はなにをやっても楽しかったわ。映画を撮ったり、今考えればどうでもいいようなストーリーだったけど、自分がなにかをやっているって感覚があったわ。飛び入りでギターを弾いたり、みんなで野球をやったり、見つかりもしない不思議を探し回ったり」 まあ、俺もあの頃はそれなりに楽しんだ。やたら体力と財力を消費はしたが。 「それがこの頃ときたら、なにか新しいことを思いつくとそれにかかるお金とか時間とか、必要な人材とかを考えるのが先なのよね」 「ふつー、なにかをはじめるときはそうなんだけどな」 「あの頃は自分ひとりででもやってやるって意気込みがあったわ」 そうだ、ハルヒはいつも独走だった。スタートラインに並び、フライングだろうがなんだろうがひとりでぶっちぎりゴールを目指す。その後を俺たちがへいへいとついて行く。いつもがそんな図だった。 「やりたいことが変わってきたんじゃないか。より高度になったとか、質が高くなったとか」 「どうかしらね」 「思いつきがでかいから、ひとりじゃ無理ってことだろう。計画性も大事だ」 俺が計画性を言い出すようになっちまったら、世の中はミジンコ並みに計画どおりだな。 「すべてが計算づくになってしまった自分がうらめしいわ。あたし、いったいなにが変わったのかしら」 「まあ商品企画課っていうハルヒの仕事柄だろう」 「モノ作りの最前線っていうからこの仕事に就いたのに、いまいち自分が作ってるって感じがしないよのね」 「お前だけで作ってるわけじゃないだろ。ひとつの製品にいろんな人間が関わってる。それが会社ってもんだ」 あまり慰めにも励ましにもならんセリフを淡々と言う俺も、実は今の仕事には生き甲斐を感じていない。 「それは分かってんだけどね」 「けど、給料はいいんだろ?」 「まあね。ボーナスも思ったより多かったわ」 「この不景気にそれは贅沢ってもんだ」 「分かってるわよ。同僚と飲みに行ったりもするし、給料日には買い物して遊んで歌って午前様だし」 「これ以上なにが不満なんだ?」 「分かんない……。いい職場についたし、給料もいいし、好きなもの買えるし」 ハルヒはこれと決めたものには出費を惜しまない。自分の思い付きを実現するためならバニーの衣装だろうがメイドの衣装だろうが、自腹で買ってしまう。ストレスで散財するタイプだなこいつは。将来旦那が苦労するぞ。 就職したから自分でストレスを解消できるようになった、という言い方は変かもしれないが、自由に使える金があれば、特別な力がなくてもある程度の願望を実現することはできるかもしれない。食ったり飲んだり騒いだり、簡単になにかを手に入れたりすることで、本当にやりたいことがだんだん霞んでしまう。古泉が言っていた閉鎖空間発生が減った理由が、なんとなく分かってきた気がする。 ハルヒは食い残しのシーフードパスタをフォークの先でいじりながら言った。 「なんだかね、タコが自分の足を切り売りしてる気持ちっていうのかしら」 「お前にしちゃうまい例えだな」 「もう、どうでもよくなってきたわ……」 テーブルに顔を伏せてそのまま眠り込んでしまいそうな、久々に見るハルヒのメランコリーである。 2章へ
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俺たちは森さんたちのいる場所へ無事に戻り、帰還の準備を始めていた。 しかし、ここに来てやっかいな事実が露呈する。ハルヒの足が動かないということだ。 何でも朝比奈さん(長門モード)に確認したところによると、2年近く部室に拘束状態にされ、身動き一つ取れなかったらしい。 そのためか、身体の一部――特に全く使えなかった足に支障を着たし、自立歩行が困難な状態に陥っていた。 そんなハルヒの足の状態を、新川さんに調べてもらったわけだが、 「大丈夫でしょう。外傷もありませんし、リハビリをすればすぐに元通りになるレベルかと」 という診断結果を聞いてほっと胸をなで下ろす。ちなみに、拘束状態にだったはずのハルヒが 何で神人に捕まっていたのかというと、朝比奈さん(通常)が説明してくれたんだが、 「ええとですね。突然、部室にキョンくんが現れたんです。そして、涼宮さんの拘束をほどいてくれて――」 「こらみくるちゃん! それは絶対内緒っていったでしょ! それ以上しゃべったら、巫女さんモードで 一週間登下校の刑にするからね!」 「ひえええええ! これ以上はしゃべれませんんん」 で、強制終了だ。まあ大した話じゃなさそうだし、朝比奈さんのためにもこれ以上の追求は止めておくか。 空を見上げると、この辺り一帯はまだ灰色の空に覆われているが、地平線はほどほどに明るくなりつつあった。 古泉に言わせれば、閉鎖空間があまりに巨大化していたので、正常になるのにも少々時間がかかるのだろうとのこと。 ってことは、外に脱出するまでしばらく時間がかかるって事か。面倒だな。その間、奴らも黙って見てはいないだろう。 「とりあえず、この場所にとどまっているのは危険です。できるだけ早く閉鎖空間から脱出できるように、 こちらも徒歩で移動します」 森さんの決定。ハルヒは新川さんが背負っていってくれることになった。ハルヒも自分の身体の状態をよく理解しているらしく、 快く了承している。 と、新川さんに背負われたハルヒが俺の元に寄ってきて、 「ちょっと聞きたいんだけどさ。その――外はどうなっているの? ずっとこんなところに閉じこめられていたから……」 ハルヒの問いかけに、俺はどう答えるか躊躇してしまった。素朴な疑問なのか、全世界の憎しみを背負わされていることに 感づいているのか、どちらかはハルヒの表情からは読み取れなかった。 しばらく考えていたが、俺は無理やり笑顔を取り繕って、 「色々あったが、何とか平常を取り戻しつつあるよ。それから、お前の事は世界中が知っている。 この灰色の世界の拡大を止める鍵であるってな。救世の女神様扱いさ」 「そう……よかったっ!」 ハルヒの100Wの笑み。これを見たのもずいぶん久しぶりだな。 あっさりと納得してくれたのか、ハルヒは元気よく腕を振って、さあ行きましょう!と声を張り上げている。 その様子を見ていたのか、古泉が俺の耳元で、 「いいんですか? いざ外に出たらすぐに嘘だとわかってしまいますが」 「……嘘は言ってねえよ。ハルヒが個人的な理由でこんな大混乱を引き起こしたどころか、死力を尽くして、 被害の拡大を抑えていたんだからな。閉鎖空間だって、奴らを閉じこめる一方で無関係の人を巻き込まないようにするのが 目的だったんだ。自覚があったのかは知らないが。間違っているのは世界中の人々の認識の方さ。 だったらそっちの方を正してやるべきだと思うぞ」 はっきりとした俺の返答に、古泉は驚きを込めた笑みを浮かべ、 「あなたの言うとおりです。修正されるべきは、機関を含めた外野の方ですね。その誤解の解消には及ばずながら僕も全力を 尽くしたいと思います。ええ、機関の決定なんて気にするつもりもありません」 「頼むぜ、副団長殿」 俺がそう肩を叩いてやると、古泉は親指を上げて答えた。何だかんだで、こいつもすっかり副団長の方が似合っているよな。 俺も団員その1の立場になじんでしまっているが。 「では出発しましょう。そろそろ、敵も動いてくるでしょうからね」 古泉の言葉に一同頷き、徒歩での移動を開始した。 ◇◇◇◇ 俺たちは山を下り、市街地へと足を踏み入れる。今のところ、奴らが仕掛けてくる様子はない。 だからといって、和気藹々とピクニック気分で歩くわけにも行かず、張りつめた雰囲気で足を進める。 ……自分の彼女を自慢しまくる谷口と、それに疑惑と悪態で応対し続けるハルヒをのぞいてだが。 ちょうど、俺の隣には朝比奈さん(長門モード)が歩いていたので、この際状況確認を兼ねていろいろと話を聞いている。 「で、結局連中の正体はわかったが、奴らはこれからどうするつもりなんだ?」 「わからない。ただ、彼らの涼宮ハルヒへの執着心は無くなることはないと考えている」 まるでストーカーじゃないか。しかも、面倒な能力を持っている奴らも多いとなると、たちが悪いな。 と、ふと思い出し、 「そういや、連中はハルヒの頭の中を一部だけ乗っ取っていたんだろ? あれはまだ継続しているのか?」 「その状態は、わたしたちという鍵がそろった時点で解消された。意識領域の一部に発生した欠損をあなたの存在が埋めたから。 今ではわたしの介入もなく、彼女は自力で自我を保っている」 なら少なくても何でもできるような力はなくしているって事だな。だが、待てよ? ハルヒの能力を得る前の状態でも お前の親玉にアクセスできるような連中がいたなら、そいつらはまだ得体の知れない力が使えるって事か? 「情報統合思念体への不正アクセスは、彼らからのアクセス要求経路が判明した時点で使用できなくしている。 現状では彼らは情報統合思念体を利用できないと考えてもいい」 なるほどな。もう奴らもすっかり普通の人間の仲間入りってことか。 だが、そんな状態なのに、まだハルヒをどうこうできると思っているのか? 「【彼ら】はもう涼宮ハルヒなしには存在できない。少なくとも彼らはそう考えているはず。 だから能力があろうが無かろうが、彼らは涼宮ハルヒを手に入れることしか考えられない」 「……奴らに無駄だとわからせる方法はないのか?」 「きわめて難しい――不可能と断言できると思う。彼らの自我もまた統一された情報に塗り替えられ、涼宮ハルヒと接触する前の 記憶が残っているかどうかすらわからない。例え脳組織の情報から涼宮ハルヒという存在を抹消しても、人格すら残らないだろう。 それほどまでに彼らは狂ってしまっている」 長門は淡々と説明してくれたが、全身からにじみ出している感情は明らかに負のものだった。 ハルヒに責任はないが、彼らもまた得体の知れない情報爆発とやらの犠牲者なのかも知れない。 ただ、それでもハルヒを「手段」として扱い、あまつさえ俺たちの事なんてどうなってもいいと思っていたんだ。 その点を見るだけでも、同情の余地は少ないと思う。 「ん、そういやハルヒは自分の力について自覚しているのか? これだけの大事になってもまだ気が付かないほど 鈍感でポジティブな思考回路をしているとは思えないが」 「はっきりとは明言していない。涼宮ハルヒ本人も自分が普通ではないと言うことは理解しているが、 完全に把握できていないと推測できる。ただし、自分がやるべき事は理解しているはず。だからこそ、混乱状態にもならず 自分がすべき事を実行している」 なるほどな……理解することよりも、まずこの状況をどうにかすることが先決だと考えているって事か。ハルヒらしいよ。 そんな話をしばらく続けていたが、ふと先頭を歩く森さんが歩みを止めたことに気が付く。俺たちの左側には民家が並び、 右隣には小さな林が広がっていた。民家の方はそれなりに見通しが効いたが、林の方は薄暗い閉鎖空間のため、 夜のようにその中はまっ暗に染まり、林の中がどうなっているのか全く見えない。 ――パキッ。 俺の耳にははっきりと何かが折れる音が聞こえた。閉鎖空間内にいるのは、俺たちをのぞけばあいつらだけだ。 「……全員、身を伏せて物陰に隠れて」 森さんの冷静ながらとぎすまされた声が響く。俺たちは一斉に民家の物陰に身を隠す。新川さんも一旦ハルヒをおろし、 俺のそばに置いた。ハルヒは持ち前の鋭い眼光で林の方を睨み続け、朝比奈さんは長門モードになっているらしく、 平静さを保っている。 俺も銃を構えて、林の方を伺い続ける。野郎……どこにいやがる。とっとと出てこい…… 唐突だった。俺の背後にあった民家の屋根が爆発し、そこら中に残骸が降り注いだ。同時に林の中から、 あの化け物と化した連中の大群が津波の如く押し寄せ始める。 「撃ち返して!」 森さんの合図を起点に、俺たちは化け物の群れにめがけて乱射を始める。耐久力はないようで、一発命中するだけで どんどん倒れ込んでいった。しかし、数が多い! 撃っても撃ってもきりがない。 さらに、少数ながらこっちにも銃弾が飛んでくるようになってきた。向かってくる全員ではないが、 ちょくちょく銃らしきものを撃ちながら、こっちに走ってくる奴もいる。国連軍から奪ったものを使用しているのかもしれない。 押し寄せ続ける敵に対して、特に森さんたち機関組が前に出て、敵を次々と倒していく。ん? 新川さんの姿が見えないが、 どこに行ったんだ? しばらく撃ち合いの応酬が続いたが、突然林の方から新川さんが現れたかと思うと、こっちに向けてダッシュしてくる。 そして、見事な運動神経で敵の手をかいくぐりつつ、俺たちの元に戻ってきた。 「首尾は!?」 「全く問題ありませんな。タイミングの指示をお願いします」 「わかりました。合図はわたしが出します!」 そんな森さんと新川さんのやりとり。何だかわからないが、とりあえず任せておくことにしよう。 こっちの攻撃に対して有効だと悟ってきたのか、飛んでくる敵の銃弾の数が増えてきた。俺の周りにも次々と命中し、 壁の破片が全身に降りかかってきた。当たらないだけラッキーだが。 そんな状況が続いたが、突然黒い化け物の群れの数が激増した。津波どころか、黒い壁がこっちに向かってきているように 見えてしまうほどだ。 そこで森さんの指示が飛ぶ。 「全員、身を隠して! 新川、お願い!」 全員が一気に身を伏せるなりすると、同時に林の方で数発の爆発が発生した。 どうやら新川さんが地雷か何かを仕掛けていたらしい。全くとんでもない人たちだよ、本当に。 「本部に連絡が取れるかどうか確認! 可能なら航空支援の要請を!」 さらなる森さんの支持に、谷口が国木田から引き継いでいた無線機で連絡を試み始める。 爆発のショックか、一時的に奴らの動きは止まったが、程なくしてまたこちらへの突撃を再開した。俺はできるだけ弾を無駄に しないように的確に奴らを仕留めていく。 発射!という森さんの次の指示に多丸兄弟が肩に抱えたロケットランチャーを発射した。そういや、プラスチックでできた 重さ数百グラムの携行式のもの持っていたが、ようやく出番になったか。弾頭が林の入り口付近にいた化け物に直撃し、 周りを巻き込んで吹っ飛ぶ。 一方の谷口は無線機で呼びかけを続けていたが、どうやらつながってくれないらしい。ダメだという苦渋の表情に加えて、 首を振っているのですぐわかった。 森さんはそれを確認すると、手榴弾を投げ始めた。釣られて俺たちもそれに続く。ロケットランチャーに続いて、 手榴弾も次々と炸裂していく状況に、奴らの突撃の速度がやや鈍ったのがはっきりとわかった。 すぐにそれを好機と見た森さんは、 「後退します! あなたたちは涼宮さんを連れて先に行って、残りの者はラインを保ちつつ、ゆっくりと後退します!」 そう言って俺と谷口、古泉にハルヒたちを連れて行くように指示を飛ばした。森さんたちを置き去りにするようで気分は悪いが、 ここでまたハルヒをあいつらの手に渡すわけにはいかない。 俺はハルヒを背負って――とすぐに思い直して、ハルヒの身体を肩に抱えるように持ち上げた。 「ちょっと、どうしてこんな不安定な持ち方するのよ! これじゃあんたも動きづらいでしょ!」 「背負ったら、俺に向かって飛んでくる弾がお前にあたっちまうだろうが!」 そう怒鳴りながら住宅街の中めがけて走り出す。隣には朝比奈さん(長門モード)がちょこちょこと付いてきて、 俺の背後を谷口と古泉が守ってくれていた。 100メートルほど進んで、一旦立ち止まり森さんたちの援護を始める。まだ林の前で奴らを食い止めていた機関組だったが、 やがて俺たちの援護に呼応するようにゆっくりと後退を始めた。 だが、奴らもそれを黙ってみているわけがない。こっちが引き始めたとわかるや、また怒濤の突撃を再開してきた。 さらに、どこから持ち出してきたのか知らないが、ロケット弾のようなものまで飛んでくるようになる。 命中率が酷く悪いところを見ると、ろくに使い方もわからずに撃ちまくっているみたいだ。 この後、しばらく同じ動きが続いた。まず俺たちが数百メートル後方まで移動し、その後、俺たちの援護の下森さんたちが 後退する。だが、どんどん連中の数が増えるのに、こっちの残弾は減る一方だ。すでに前方でがんばっている多丸兄弟は 自動小銃の弾を撃ちつくし、今ではオートマチックの短銃で奴らを食い止めている。ただ、幸いなことに外側と ようやく連絡が取れて、すぐにこっちに援護機を出してくれることになった。 だが、下手な鉄砲でも数撃てば当たると言ったものだ。ついに多丸圭一さんに被弾し、地面に倒れ込む。 隣にいた新川さんが手当をしようと試みるが、どんどん激しさを増す銃弾の嵐にそれもままならない。 「助けないと!」 ハルヒの叫びに反応した俺は、すぐさま飛び出そうとするが、古泉に制止された。同時に森さんからの指示が 無線機を通して入ってくる。 『こっちはいいから先に逃げなさい! あとで追いかけます!』 いくら森さんたちでもけが人一人抱えながら後退なんて無理に決まっている。こんな指示には従えねえぞ! 俺はそれを無視して、古泉を振り切ろうとするが、 「ダメです! 指示に従ってください!」 「ふざけるな! 森さんたちを見捨てろって言うのかよ!?」 そうつばを飛ばして抗議するが、古泉は見たことのない怒りの表情を浮かべ、 「バカ言わないでください! 森さんたちがこんな事で死ぬわけがありません! 死んでたまるか!」 あまりの迫力に俺は何も言い返せなくなってしまう。古泉はすっと苦みをかみつぶした顔つきで、森さんたちの方を見ると、 「根拠がないって訳じゃないんです。敵にとっての目的は涼宮さんただ一人。そして、閉鎖空間が崩壊するまで あまり時間がありません。相手にしても価値のない森さんたちは無視してこちらに向かってくるはずです。きっとそうです!」 俺は古泉の言い分に納得するしかなかった。確かに、超人じみた森さんたちの能力を見くびってはならない。 大体、あの人たちがピンチになったからと言って、凡人である俺に救えるのか? 傲慢もほどほどにしろ。 なら俺にできることをやったほうがいい。 二、三度頭を振るうと、俺は古泉に頷いた。ハルヒを連れて行く。今俺ができることはそれで精一杯だ。 「おいキョン! 見てみろ!」 谷口が指している方角をみると、小高い丘の上がゆっくりと明るくなって来ている。閉鎖空間の外側はもうすぐだ。 あの丘の向こう側にそれがある。 俺はまたハルヒを抱えると、丘めがけて走り出した。いい加減、足もふらふら息も限界に近づいているが、 そんなことは気にしている余裕すらない。 丘の前を走っている川を渡ると、背丈ぐらいまである草を払いながら丘を登り始めた。古泉たちも俺に続く。 ふと、背後を振り返ると、森さんが川の前まで走ってきて、自動小銃の弾が尽きたのか短銃を敵めがけて撃っていた。 新川さんと多丸裕さんも姿もなくなっている。くそ、何にもできない自分が腹立たしい。 「森さん! 受け取ってください!」 古泉がそんな森さんに向けて、自分の自動小銃を放り投げた。すぐさま、余っていたマガジンも全て投げる。 ――その時、自動小銃をキャッチした森さんの顔は、距離が離れているためはっきりとは見えなかったが、 優しげに微笑んでいるように見えた。だが、すぐに俺たちに背を向けると、敵めがけて撃ちまくり始める。 その時だった。 「うぐおわっ!」 足に受けた強い衝撃で俺の口から自然と飛び出た情けない悲鳴とともに、ハルヒごと地面に倒れた。 見れば、左足のふくらはぎに銃弾が命中したらしく、ズボンの中からダクダクと血が噴き出している。 「キョン大丈夫!? ちょっと待っててすぐに手当てするから!」 ハルヒは自分のセーラー服の袖を破ると、俺の太ももの部分をそれで締め上げ始めた。傷口を押さえるよりも、 根本で血の流れを止めた方がいいと判断したんだろう。さすがにこういうことには完璧な働きをしてくれる。 そして、出血が少なくなったことを確認すると、再度ハルヒを肩にかけ、朝比奈さん(長門モード)の肩を借りつつ、 丘の上目指して歩き始めた。背後では古泉と谷口が何とか敵の動きを食い止めている。 「もうちょっと……だ!」 「キョン! もう少しで丘の上よ! がんばりなさい!」 ハルヒの励ましに、俺は酸素と血液不足で意識がもうろうとしながらも、丘を登り続ける。 ふと、背後を振り返ってみると、すでに奴らは小川を渡り始めていた。まだ距離はあるが、俺の足がこんな状態だと すぐに追いつかれるぞ。 「行け行けキョン! とっとと行け!」 絶叫に近い谷口の声。あいつ、あれだけへたれだったのに、ずいぶん男らしくなったもんだな。 昔だったら、危なくなったら真っ先に逃げ出していたタイプだったのによ。 そんなことを考えている内に、俺はようやく丘の上に出ることができた。そこからしばらく緩い下り坂が続いていたが、 その途中からまるで雲の切れ目のように光が差し込んできている。あそこが閉鎖空間との境界だ。あそこにたどり着けば…… 朝比奈さん(長門モード)に支えられながら、俺たちはゆっくりと丘を下り始める。 と、ここで谷口が丘の頂上にたどり着き、俺たちへ背を向けつつ撃ちまくり始める。だが、見通しの効く場所だったせいか、 一斉に銃撃が集中され、谷口の身体に数発が命中した。悲鳴を上げることすらできず、谷口は地面に倒れ込んだ。 俺はしばらくそれを見ていたが、迷いを打ち消すように頭を激しく振って、 「朝比奈さん、長門! ハルヒを頼みます!」 そう言ってハルヒの身体を朝比奈さん(長門モード)に預けると、谷口に向かって足を引きずりつつ向かう。 背後からハルヒが何かを叫んでいたが、耳に入れて理解している余裕はなかった。 森さんたちとは違い、谷口も俺ともあまり大差ない一般人だ。このまま見捨てておけば、死んでしまうかも知れない。 それに、谷口の話を聞かされている以上、どうしても置いていける訳がねえ! しつこく銃弾がこちらに飛んでくるので、俺は地面に伏せて匍匐前進で谷口の元に向かう。すぐ近くからも発砲音が 聞こえてくるところを見ると、古泉がまだ応戦しているようだ。 ほどなくして、谷口のところにたどり着く。見れば、腹に数発の銃弾を受けて、出血が酷かった。 首筋に手を当ててみると、脈もかなり弱まっている。 「おい谷口! しっかりしろ! 死ぬな! 死ぬんじゃねえぞ!」 「ははっ……最期の最期で……ドジっちまったな……」 すでに声も力なくなっていた。まずい、このままだと消耗する一方だ! すっと谷口は俺の腕をつかむと、 「すまねえ……伝えておいて欲しいことがある……あの子に……あ!」 「聞こえねえぞ! 絶対に聞くつもりはねえ! いいか! 絶対に死なせねえぞ――お前が死ぬ気になっても俺が許さない!」 奴らの謀略で谷口の死を一度目撃した。あんな気持ちは2度とごめんだ! 遺言なんて糞食らえだ! 絶対に、どんな手を使っても死なせねえ! しかし、俺の言葉は谷口の命を奮い立たせるほどのものでもなく、次第に力がなくなっていくことがはっきりとわかった。 くそ――どうすりゃいい―― 俺ははっと思い出し、谷口のポケットから恋人の写真を撮りだした。そして、それを目の前に差し出し、 「いいか、谷口! おまえ、こんな可愛い子を置いていく気か!? お前みたいなスチャラカ野郎に惚れてくれるなんて 世界中探しても二人もいねえぞ! 当然、天国だか地獄でもだ! こんなことは奇跡と言っていい! ここであっさりと死んじまったら、お前は一生独り身だ! この子がお前のところに行くときには別の男がそばにいるかもな! そんなんでいいのか、谷口!」 とんでもなく酷い言いようだったが、さすがにこれには堪えたらしい。谷口は上半身を上げて俺につかみかかると、 「――嫌だ! 死にたくねー! 助けてくれキョン! 俺は――俺はまだ何も――!」 「ああ、いいぞ。そうやってずっと抗っておけ! 古泉、来てくれ!」 何とか谷口を奮い立たせることに成功したが、このままだと本当に死んでしまうことは確実。何とか、手当てをしてやらないと。 「今行きます!」 古泉はしばらく短銃を撃ちまくっていたが、ほどなくして俺のところへやってきた。 「どんな具合ですか? 手当は?」 「出血が酷くて、脈も弱いんだ。とてもじゃないが、血を止められそうにねえ」 「早く医者に診せないとまずいですね……!」 古泉もお手上げの状態だ。谷口は半べそかきながら、俺に死にたくないと懇願を続けている。 と、ここで谷口が持っていた無線機から、声が漏れていることに気が付いた。同時に、上空を数機の攻撃機が飛び交い始める。 ようやく来てくれたか! まだ閉鎖空間内だったのによくやってくれるよ。 古泉は無線機を取り、連絡を取り始める。数回この辺り上空を旋回後、自分たちのいる位置から北側に向けて 爆撃して欲しい。そんな内容だった。恐らく森さんたちに攻撃開始を悟ってもらうために、すぐには攻撃を仕掛けないのだろう。 古泉らしい冷静な配慮だと思った。 俺は古泉の指示通りに、発煙弾を自分たちのいる場所に置いて、位置を知らせる。 と、あの黒い化け物たちがかなり近くまで来ていることに気が付き、あわてて銃を撃って奴らを食い止めた。 無線機から、こちらの場所を確認したと連絡が入る。俺たち3人はそれぞれ頷き、攻撃を要請した。 その間も次々と奴らが迫ってきていたので、俺と古泉で必死にそれを食い止める。 ふと、脳裏に奴らのことが過ぎった。ハルヒの情報爆発によって何らかの影響をもたらされた人々。 それ自体は別に悪いことでもないし、むしろ巻き込まれたという点から見れば、かわいそうな部類に入るだろう。 だが、ハルヒに手を出そうとしたのは間違いだ。実際にハルヒのことを調査していたなら、あいつが自分の持っている力について 自覚していないことなんてわかっているはずだからな。理由は知らないが、ハルヒの意思を無視してそれを奪おうとした。 しかも、人間として扱わなく、自分の願望を叶えるための道具として扱おうとした。とても許せる話ではない。 何よりも、俺たちSOS団をバラバラにしようとした。そんなに叶えたい願い事があるなら、 こっちに穏便に接触してくればよかったんだ。最初から暴力的手段に訴えた時点で、お前たちは俺の敵だ! 容赦しねえぞ! ……やがて、低空で飛ぶ4機の攻撃機が俺たちの前を過ぎるように飛んできた。 死ぬなよ、森さんたち……! 神でも仏でも何でも良いから祈り続ける俺の目の前を爆弾が投下され、辺り一面大地震のような地鳴りと熱風が吹き荒れる。 丘や民家一帯にいたあの化け物たちは、次々と爆風と炎に呑まれ、倒れていった。 「キョンっ!」 爆撃が一段落した辺りで、ハルヒの声が聞こえた。振り返ってみれば、朝比奈さんに抱えられたハルヒの姿がある。 そして、上空からバタバタと大きな音が響き渡ってきた。ヘリが数機、俺たちの上空をかすめて飛んでいる。 ここでようやく気が付いた。空の色が、あの閉鎖空間の灰色ではなく、雲一つ無い青空であることに。 ――俺たちは閉鎖空間を抜けていた。 ~~エピローグへ~~
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ハルヒ「キョン! あれ見て!!」 キョン「おい、こんなところで走るな!」 ズザザザザザザーーーーー! 古泉「派手にやりましたね」 みくる「あわわわ、顔からですぅ~」 長門「ユニーク」 ハルヒ「いったぁい……」 キョン「こんな砂地で走ったらそりゃ滑って転ぶだろ……って、お前、その顔!!!!」 ハルヒ「顔痛い……って、え?あ、あたしの顔から血が……きゃあああああああ!!!」 キョン「落ち着け、単なる擦り傷だ!!!!」 長門「ユニークww」 古泉・みくる「「長門さん……?」」 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 ハルヒ「ううぅっ、あたしの顔が……あたしの美貌が……(涙目)」 キョン「まったく、ほらハンカチ。歩けるか? 保健室行くぞ」 ハルヒ「何よバカキョン……あたしが転ぶ前に支えなさいよ」 キョン「無茶言うなよ(やれやれ、さすがにショックか? いつもの勢いがないな)」 古泉「ここは彼に任せましょう」 みくる「はわわ、涼宮さん大丈夫でしょうか~」 長門「涼宮ハルヒの転倒……w」 古・み「「長門さん……?」」 保健室に移動したキョンとハルヒ キョン「すみませ~ん……あれ、誰もいないな」 ハルヒ「先生留守なの? しょうがないわね、キョン、あんたが手当しなさい!」 キョン「やれやれ、言われなくてもやってやるよ。自分の顔じゃやりにくいだろうが。 ほら、もっと顔を上げて傷を良く見せてみろよ」 ハルヒ「ちょ、ちょっと!!何顔に触ってんのよエロキョン!!(顎に手を添えるなんて反則よ!///)」 キョン「何言ってんだ、ちゃんと支えないと消毒しにくいだろうが」 ハルヒ「///(顔が近い!!!)」 そのころまだ外にいる3人 長門「涼宮ハルヒの顔面に損傷。そして次は……」 みくる「ひぃい!!?? な、長門さん!?」 古泉「(逃げた方が良さそうですね)」 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 ハルヒ「(ダメ、耐えられないわよ!!!)」 キョン「おい、ハルヒふざけんな! 何で顔背けるんだ!」 ハルヒ「だ、だって……///(恥ずかしいじゃないの……)」 キョン「ほら、ちゃんと消毒しないと痕が残ったら可愛い顔がもったいないだろ」 ハルヒ「え……? キョン、ちょっと何言ってんのよ!!///」 キョン「え? ……あ。(しまった、つい本音が!)」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「サッサとしなさいよ……///」 キョン「分かったから動くなよ///」 ハルヒ「///(だから顔が近いってば!!!!)」 そして1行目に戻る 窓から覗いている3人 古泉「何をやっているんでしょうね」←逃げてなかったのかお前は みくる「何かいい雰囲気ですね~」 長門「……バカップルウゼェ」 古・み「……」 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 ハルヒ「痛い! もっと優しくやりなさいよ!」 キョン「しょうがねぇだろ。俺だって一生懸命やってるんだ」 ハルヒ「痛い痛い痛い~~~!!!」 キョン「おい、暴れるな!!!!」 ハルヒ「まだ終わらないの!?」 キョン「もうすぐ終わる。どうでもいいが何でずっと目を瞑っているんだ?」 ハルヒ「う、うるさい!///(だってこんな近くに顔が……)」 キョン「(うっ 赤面して目を瞑って見上げるのは反則だ!!!)///」 キョン「ほ、ほら終わりだ///」 ハルヒ「……あ、ありがと///」 ガチャ 古泉「おや、治療も終わったようですね」 みくる「涼宮さん、大丈夫ですか~」 長門「……会話がエロい」 古泉「いえ、それにしては彼が冷静過ぎます」 キョン「真面目に突っ込むな!!! てか長門????」 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 古泉「困ったことが起きました」 キョン「何だ?」 古泉「この保守の作者が、何も考えずに僕たちを絡めたおかげで先が続かなくなりました」 みくる「私たち、話の流れに関係ないですもんね……」 長門「無理があると判断できる」 ハルヒ「じゃあどうなるのよ! こんな中途半端で終わらせるなんて許されないわよ!!」 キョン「中途半端って何だ? ただお前が顔面怪我して俺が消毒しただけだろうが。落ちも何もねぇ」 ハルヒ「な、何よ! キョンのバカ!!!」 キョン「何を怒ってるんだ?」 古泉「あなたって人は……」 みくる「キョンくん……」 長門「……鈍感ワロス」 古泉「ところで、続かなくなった要因の1つに、おもしろ半分に長門さんを黒っぽくしたからというのがあるようです」 長門「……この保守作者の情報連結解除開始」 全員「ええええええ!!??」 (情報連結が解除されました。続きを読むには長門に再構成を依頼してください) 古泉「(き、気を取り直して)もう時間ですし、今日の所は帰りましょう」 ハルヒ「そうね。何か気分壊れちゃったし」 キョン「おい、俺が言ったら『あんたが仕切るな!』って怒るくせに……」 ハルヒ「あんたは雑用! 古泉くんは副団長なんだから当たり前でしょ!」 キョン「やれやれ……」 ハルヒ「キョン! あたしを家まで送りなさい!」 キョン「は? 何で俺が?」 ハルヒ「あたしは怪我人なんだからそれくらいの気遣い当たり前でしょ!」 キョン「別にたいした怪我じゃないだろ!」 ハルヒ「うっさい! 団長命令!!」 キョン「やれやれ、わかったよ」 古泉「じゃ、お願いしますね」 みくる「また明日~」 長門「……上手く私たちを追っ払おうという意図が見え見え」 古・み「「え??」」 長門「この保守作者の情報連 「もうその手は使えないんじゃないですか?」 長門「……」 キョン「ほら、帰るぞ。早くしろ」 ハルヒ「あんたが仕切るな!」 キョン「……やっぱりな」 ハルヒ「何よそれ?」 キョン「3行目」 ハルヒ「う」 落ちなしスマン 養護教諭は薬品棚に隠れていた保守 帰り道 キョン「何で俺が送ってるんだ?」 ハルヒ「今更何言ってんのよ! 第一あんたのせいでしょうが!」 キョン「は? お前が勝手に転んだんだろ。何で俺のせいなんだよ」 ハルヒ「あんたは雑用なんだから団長が危ないと思ったら身を挺してかばわなきゃダメなの!」 キョン「おいおい、俺は超能力者でも何でもないぜ。無理に決まってるだろ」 ハルヒ「何よ! 最初から諦める気? それでもSOS団の団員その1なの!?」 キョン「無理な物は無理だ。俺は俺にできる範囲でしか……(ハルヒを守ってやれない)」 ハルヒ「範囲でしか、何よ」 キョン「いや、まあできることしかできないってことだ(やばい、また訳のわからんことを言いそうになった)」 ハルヒ「情けない」 キョン「俺のせいってのは納得行かないが、送る位はやってやるよ。その顔で1人で帰るのが嫌なんだろ? ま、俺にできる範囲ってのはその程度だろ」 ハルヒ「う……(何で分かったのよ!)。そんなんだからいつまで経っても雑用から抜け出せないのよ」 キョン「はいはい、悪うございました(何でそんな嬉しそうに言うのかね)」 古泉「乙女心に疎い彼が、送って欲しい理由に良く思い当たりましたね。」 みくる「妹さんがいるからじゃないですか~? うふ、でも送って欲しい理由は他にもありますよね」 古泉「なるほど、恋愛以外ならある程度分かる、と。肝心な所は鈍いままですが……」 長門「……無理矢理出さなくてもいい」 古泉「まあまあ長門さん、出番があるのはいいことです」 みくる「あ、自転車乗って行っちゃいました」 キョンとハルヒの帰宅を尾行中保守 キョン「ほら、着いたぞ。また明日な」 ハルヒ「う、うん……」 キョン「何だよ? 何か言いたいことあるのか?」 ハルヒ「あ、明日も迎えに来なさい!!」 キョン「おい、俺を何時に起こす気だ。朝弱いんだぞ」 ハルヒ「う、うるさいわね! 十分あんたにできる範囲でしょ!! ……こんな顔で1人で歩きたくないんだから……」 キョン「……(しまった)。やれやれ、わかった。起きれたら来てやるよ」 ハルヒ「ダメ。遅刻したら罰金、来なかったら死刑!!!」 キョン「死刑は嫌だが、正直、起きる自信がない」 ハルヒ「そんなんだからいつも罰金から逃れられないのよ。仕方ないわね、朝起こしてあげるわよ!」 キョン「へ?」 ハルヒ「モーニングコールかけてやるって言ってんのよ! 団長自らよ? 感謝しなさい!!」 キョン「やれやれ……(そんな笑顔で言われたら断れないよな)」 ハルヒ「じゃ、また明日!!」 キョン「あんな怪我があってもなくても、ハルヒの笑顔は変わらないんだよな……」 キョン「て、俺何言ってんだ」 キョン「(そういや消毒してるときのハルヒ、何か雰囲気違って可愛……いや、何だ?)」 キョン「……はぁ(考えるのはやめた方がいいな)」 古泉「ハァハァ……おやおや、1人だと案外素直なんですね」 みくる「ぜぇぜぇはぁはぁ……く、苦しい……。長門さんは平気そうですね」 長門「この程度の移動速度で息が乱れる方が問題」 古泉「ここまで走るのはちょっと骨でしたね。……帰りますか」 長門「私たちは何しに来たのコラw」 自転車を走って追っかけた3人保守 翌朝 携帯が鳴っている キョン『……もしもし?』 ハルヒ『おっきろ~~~!!!!!!!』 キョン『起きてるから電話に出ている』 ハルヒ『何よ、つまんない。1回じゃ起きないと思ったのに』 キョン『何回電話するつもりだったんだよ』 ハルヒ『どうでもいいわ、そんなこと。それより7時半にうちの前! 遅刻は罰金だからね!!』 キョン『わかってるよ』 キョン「6時か。支度は終わってるんだよな。出るか。……眠い……」 ハルヒ「もう支度は終わってるけど、さすがに来ないわよね……」 30分後 ハルヒ宅玄関前 ハルヒ「何でもう来てるのよ!?」 キョン「罰金は嫌だからな」 ハルヒ「今からじゃ早すぎるわよね……」 キョン「部室で時間潰せばいいだろ」 2人とも実は楽しみで眠れなかったらしい保守 早朝の文芸部室にて ハルヒ「う~~~~~~~~~ん」 キョン「何鏡見てうなってるんだ。何か呼び出す儀式か?」 ハルヒ「バカ! んな訳ないでしょ! ……やっぱりひどい顔だな、と思ってるだけよ」 キョン「そんなことないと思うが」 ハルヒ「だってこの傷目立つわよ。バカキョンには女心が分からないのよね」 キョン「(そんな落ち込んだ顔するなよ) ……悪かったな」 ハルヒ「分かればいいのよ。……はぁ」 キョン「大げさに溜息をつくなよ」 ハルヒ「だって痕が残ったらどうしよう」 キョン「擦り傷だし、残りはしないだろ」 ハルヒ「……残ったら怪我とその発言の責任取ってもらうわよ」 キョン「やれやれ、どんな罰ゲームをさせる気だ?」 ハルヒ「……鈍感」 キョン「何だって? 聞こえなかったんだが」 ハルヒ「いいわよ、もう」 キョン「何を怒ってるんだ(今日はまだあの笑顔を見てないぞ)」 やべぇ、突っ込み3人組がいないと糖度が上がるw 傷のあるなしより笑顔が重要だと思っているキョン保守 教室にて 阪中「す、涼宮さん、その顔どうしたのね~~~!!」 ハルヒ「あ、これはその、キョンが……」 キョン「俺は何もしてない!」 阪中「キョンくん!!?? キョンくん非道いのね、女の子の顔に傷を付けるなんて!!!!」 キョン「だから誤解だ! あれはハルヒが勝手に……いてっ!」 ハルヒ「余計なこと言ってんじゃないわよ! あんたが悪いんでしょ!」 キョン「殴るな! 俺は何もしとらん!」 ハルヒ「何もしてないから悪いんでしょうが! 団長を守るのも団員の役目だって言ったでしょ!」 キョン「だから俺のできる範囲でしかお前を守ってやれないって言ってるだろうが!!!」 ハルヒ「できなくてもやれ!!!」 阪中「それって『俺の守れる限り守ってやる』ってことなのね~。素敵なのね」 ハルヒ「えっ ちょっと、何言ってんのよ!!!///」 キョン「阪中、何を言っているんだ。こいつが無理難題を言うからできる範囲が限られているってだけだ」 阪中「照れなくてもいいのね。恋人を守ってやるなんて、憧れるのね~」 ハル・キョン「「恋人じゃないっ!!!!!!」」 谷口「お前ら、昨日一緒に帰ってたよな。しかも自転車2人乗りで」 ハルヒ「だからちが~~う!! あれは怪我の責任取らせただけで……」 谷口「はいはい、もういいよお前ら」 ハルヒ「谷口殺す!!!!!!!」 谷口「WAWAWA~~~ グホッ ゲホッ」 キョン「谷口……骨くらいは拾ってやるぞ。やれやれ」 クラスメイト「(あいつらまたやってるよ……)」 とっくの昔にクラス公認だったハルキョン+やられキャラ谷口保守 放課後 キョン「やれやれ、今日はひどい目にあったな……」←谷口よりマシw ハルヒ「あたしのせいって言いたいわけ?」 キョン「違うのか?」 ハルヒ「違うわよ! あんたが変なこと言うから悪いんでしょ!!」 キョン「何だよ、変なことって」 ハルヒ「だ、だからそれは……!そ、その『できる範囲でしか守ってやれない』とか……///」 キョン「う……(確かに余計なことを言ったな畜生)。お前が無理言うからだろ」 ハルヒ「もう! とにかくあんたが悪いの!! 全部責任取って貰うんだから!!」 キョン「罰ゲームも罰金ももう勘弁してくれよ……」 ハルヒ「そんなんじゃないわよバカ!!!!」 パタン。本の閉じる音。 古泉「僕らはお邪魔でしょうから帰りましょうか」 みくる「えっ? あっ そうですね~」 長門「……ヤッテラレルカ、ケッ」 キョン「え? 何だよお前ら(特に長門!!!)」 ハルヒ「まだ終わる時間じゃないわよ?」 みくる「着替えるから出てけ~~~~~!!!!!!」 ハルヒ「みくるちゃんご乱心!!??」 キョン「ああ、朝比奈さんまで!!!(ここは異世界か?世界改変か??)」 結局前日からあてられっぱなしの3人保守 部室に残された2人 キョン「結局何だったんだろうな……あの3人は(後で古泉にでも確認するか)」 ハルヒ「知らないわよっ。……あんなみくるちゃん初めてみたし……」 キョン「長門もおかしかったような……」 ハルヒ「有希は気のせいってことにしないと怖い気がする。何でかしらないけど」 キョン「そうだな、気のせいだよな」 ハルヒ「気のせい、気のせい」 ハルヒ「はぁ……早く治らないかな……」 キョン「ハルヒ」 ハルヒ「何よ、あらたまって」 キョン「いや、その今朝の話というか……顔の怪我の話だけどな」 ハルヒ「何よ。やっぱりひどい顔とか言いたいの?」 キョン「アホ。んなわけないだろ。……だから、その、あんまり気にすんな」 ハルヒ「バカキョン! 今朝の話聞いてないわけ!!??」 キョン「ぐっ ネクタイを締め上げるな苦しい!! そうじゃなくてだな、怪我をしていようとしていまいと、痕が残ろうと残るまいと、ハルヒはハルヒだろ」 ハルヒ「意味わかんないんだけど」 キョン「だから、その、傷よりもそんな顔……ていうか表情しているハルヒの方が……なんていうか……」 ハルヒ「はっきり言いなさいよ! イライラするわね」 キョン「だから! 怪我があってもなくても、笑ってるハルヒの方がいいんだよ!」 ハルヒ「えっ///」 キョン「怪我が気になるのは分かるが、それでハルヒの良さが変わる訳じゃない。だからあんまり気にするな。 (あー畜生。俺は何を言っているんだろうね)」 ハルヒ「う……うん///。あ、そうだ! 怪我が治るまでは毎日送り迎えだからね!!」 キョン「覚悟はしてましたよ、団長殿 (言ったそばから笑顔が見れたのはいいが、起きられるか……やれやれ)」 実は長門によって3人に覗かれているハルキョン保守 キョン自宅にて古泉と電話中 古泉『今日はお疲れ様でした』 キョン『何の話だ』 古泉『涼宮さんですよ。彼女は顔の傷でショックを受けていた。 貴方の言葉がなければ、いずれは閉鎖空間が発生していたでしょう』 キョン『ショックはわかるが、俺がハルヒに言った言葉を何故お前が知っている』 古泉『正直に言いましょう。見ていました』 キョン『どうやって』 古泉『長門さんですよ。彼女は部室を常に監視しています。異空間がせめぎ合っていますからね』 キョン『なるほど……。で、お前も覗いたわけか』 古泉『失礼ながら今回は。朝比奈さんも一緒でしたが』 キョン『悪趣味だぞ』 古泉『分かっております。いつもそんなことをやっている訳じゃありませんよ』 キョン『ところで、長門や朝比奈さんがおかしかった気がするんだが』 古泉『気のせい……と言いたいところですが、貴方のせいですよ。正確にはあなたたち、ですか』 キョン『どういう意味だ』 古泉『見ていてイライラする、と申しておきましょうか』 キョン『わけがわからん』 古泉『これで分からなければお手上げですね。僕が「やれやれ」と言いたいくらいです』 キョン『人のセリフを取るな』 古泉『まあ、いずれ分かるでしょう。今日のところはこの辺で』 キョン「……やれやれ。明日も早いな。寝よう」 後を付けたりするくせにホントにいつもやってないのか?保守 一週間と数日後 ハルヒの自室 ハルヒ「治っちゃったな……」 ハルヒ「思ったより早かったわね……」 ハルヒ「もう、送り迎えはなしね……」 ハルヒ「……キョン……」 ハルヒ自宅前 キョン「よう」 ハルヒ「キョン、もういいわ」 キョン「何が?」 ハルヒ「送迎。もう怪我も治ったし」 キョン「それは良かったな。痕も残りそうにないな」 ハルヒ「うん……」 キョン「ま、今日のところはせっかく来たんだ。ほら、後ろ乗れ」 ハルヒ「ありがと」 キョン「元気ないな」 ハルヒ「そ、そんなことないわよ」 キョン「怪我も治ったのにな。何かあったのか?」 ハルヒ「何もないわよ」 キョン「……そうか。じゃ、行くからつかまってろよ」 何となくダウナーな雰囲気保守 再び早朝の部室 キョン「ハルヒ、やっぱりお前おかしいぞ」 ハルヒ「うっさいわね。何でもないって言ってるでしょ!」 キョン「まあ、言いたくないこともあるだろうが、言えることなら吐き出した方が楽になるぞ」 ハルヒ「だから何でもないの! (もう送り迎えがなくなって寂しいなんて言える訳ないじゃない)」 キョン「……そうか。ところでハルヒ。送迎の話だがな」 ハルヒ「……何よ(人の痛いところついてくるんじゃないわよ!)」 キョン「お前はもういいと言ったけど、続けていいか?」 ハルヒ「え? どうして? 面倒じゃないの?」 キョン「お前は俺が面倒だと分かっててやらせたのかよ」 ハルヒ「せっ責任は責任でしょ!」 キョン「おい、だから怪我は俺のせいじゃ……まあいい。送迎も面倒ではないとは言い切れんがな」 ハルヒ「じゃあどうして……」 キョン「せっかく早起きの習慣がついたんだ。今更戻るのもなんかもったいない。帰りはついでだ」 ハルヒ「そ、そう。あんたがそう言うならしょうがないわね。いいわよ」 キョン「そうか、悪いな」 ハルヒ「別に謝ることじゃないでしょ! 仕方ないからあんたは一生あたしの送り迎えしてなさい!」 キョン「一生!!?? おいまて、俺は一生お前の雑用かよ!!!」 ハルヒ「あったりまえでしょ!!」 キョン「やれやれ、元気出たからいいとするか……」 キョン「(いつの間にか2人で過ごす時間が楽しいなんて思っちまってるんだからな。やれやれ)」 ハルヒ「(理由は気に入らないけど……でもどうしよう、嬉しいかも)」 長門@監視中「いい加減素直になりやがれこのヤロウ」 みくる@長門製監視モニタを借りている「ふわぁ~ 涼宮さん、プロポーズです~」 古泉@みくる同様「彼は本当に分かってないのか、ポーズなのか……悩むところですね」 実は最後のモノローグすら素直じゃないキョン保守 1ヶ月後くらいの早朝の部室 ハルヒ「ねえキョン」 キョン「何だ?」 ハルヒ「……その、いつも……あ、ありがと」 キョン「どうした!? 急に! 熱でもあるのか!?」 ハルヒ「バカ! 違うわよ! 何よ、せっかく人が素直に……」 キョン「いや、悪かった。ハルヒに礼を言われるとは思わなかったんでな」 ハルヒ「あたしだってお礼くらい言えるわよっ! バカにしてんの!?」 キョン「だから悪かったって。まあ、俺が好きでやってることだからな。礼には及ばん」 ハルヒ「それもそうね。ま、あたしを送迎できるんだから感謝して貰ってもいいくらいよね」 キョン「おいおい。ま、それくらいの方がお前らしいか」 ハルヒ「て、話をはぐらかすんじゃない!」 キョン「は!? お前訳分からんぞ」 ハルヒ「その、まあ、あたしも感謝はしてるんだから……お礼でも……」 キョン「礼ならさっき言って貰ったぞ」 ハルヒ「そうじゃなくて……目を閉じなさい」 キョン「へ?」 ハルヒ「いいから!」 キョン「わかったよ」 キョン「……っ///」 ハルヒ「……///」 キョン「……今何をした!///」 ハルヒ「うっさい! お礼よ、お礼!///」 さて、ハルヒはキョンに何をしたんでしょうね?保守 ちょっとの間があった キョン「団長様にここまでしていただけるほどのことをした覚えはないんだが」 ハルヒ「何よっ バカにしてんの!?」 キョン「いや、そうじゃないんだが……」 ハルヒ「朝弱いって言ってるあんたが早朝から来てくれるんだし、あたしも楽だし……」 キョン「いや、だからそうじゃなくてだな」 ハルヒ「何よっ」 キョン「あー……。その、何だな。……お礼じゃないほうが嬉しいんだが」 ハルヒ「え? どういう意味??」 キョン「……っ/// 妄言だ、忘れてくれ」 ハルヒ「は? あんた団長に『忘れてくれ』なんて通じると思ってんの!!??」 キョン「……はい、思ってません(長門には通じたんだがな)」 ハルヒ「じゃあ説明しなさい」 キョン「……俺、実はポニーテール萌えなんだ」 ハルヒ「えっ」 キョン「いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則的なまでに似合ってたぞ」 ハルヒ「えっ それって……んっ……」 ハルヒ「……んっ…はぁっ……ちょっとあんた……///」 キョン「……まあ、つまりそういうことだ///」 ハルヒ「わけわかんないわよ///」 セリフあってるか?保守 ハルヒ「……まあいいわ。あんたSOS団団長にここまでしたんだから覚悟は出来てるでしょうね」 キョン「(嫌な予感)何の覚悟だ!?」 ハルヒ「あんたは一生SOS団の団員その1にして雑用係にしてあたしの下僕よ!!!」 キョン「ちょっと待て! 団員と雑用はこの際甘んじるがお前の下僕ってのは認められん!」 ハルヒ「うっさい! このあたしに…あ、あんなことして、許されると思ってるの!」 キョン「先にしたのはお前だろうが!!!」 ハルヒ「うっさい! あたしはいいのよ、団長だから!」 キョン「断じて認めん! 断固抗議する!!!」 ハルヒ「却下!!!」 古泉@覗き「ここまで来て素直になれないとは……お二人とも重傷ですね」 みくる@覗き「はわわわ~ 何でそこで喧嘩しちゃうんですか~~」 長門@覗き「……ここまで来て『好き』も言えない。予測不能」 キョン「……ちょっと待て」 ハルヒ「何?」 キョン「何か見られてる気がしないか?」 ハルヒ「誰もいないわよ……でも変ね、そんな気が……」 キョン「(あいつら、まさかまた見てるんじゃないだろうな!?)」 古・み・長「「「ばっち見てま~すwww」」」 キョン「……やれやれ」 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 おしまい。
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γ-1 「もしもし」 山びこのように返ってきたその声は、ハルヒだった。 ハルヒが殊勝にも、「もしもし」なんていうのは珍しいな。 「あんた、風呂入ってるの?」 「ああ、そうだ。エロい想像なんかすんなよ」 「誰もそんな気色悪いことなんかしないわよ!」 「で、何の用だ?」 「あのさ……」 ハルヒは、ためらうように沈黙した。 いつも一方的に用件を言いつけるハルヒらしからぬ態度だ。 「……明日、暇?」 「ああ、特に何の予定もないが」 「じゃあ、いつものところに、9時に集合! 遅れたら罰金!」 ハルヒは、そう叫ぶと一方的に電話を切った。いつものハルヒだ。 さっきの間はいったいなんだったんだろうな? 俺はそれから2分ほど湯船につかってから、風呂を出た。 γ-2 寝巻きを着て部屋に入り、ベッドの上でシャミセンが枕にしていた携帯電話を取り上げてダイヤルする。 相手が出てくるまで、10秒ほどの時間がたった。 「古泉です。ああ、あなたですか。何の御用です?」 俺の用件ぐらい、察してると思ったんだがな。とぼけてるのか? 「今日のあいつら、ありゃ何者だ?」 「そのことなら、長門さんに訊いた方が早いでしょう。僕が話せるのは、橘京子を名乗る人物についてぐらいです」 「それでかまわん」 「彼女は、『機関』の敵対組織の幹部といったところですよ。まあ、敵対とはいっても血みどろの抗争を繰り広げているというわけでもないですが」 「なら、どんなふうに敵対してるってんだ?」 「彼女たちも僕たちも、そうは変わらないんですよ。似たような思想のもとで動いてますが、解釈が違うといいますかね。まあ、幸い、彼女はまだ話が通じる方です。組織の中では穏健派寄りのようですからね。あの朝比奈さん誘拐事件も、彼女の本意ではなかったと思いますよ」 ほう。お前が弁護に回るとはな。 「それはともかくとして、橘京子の動きは僕たちがおさえます。別口の未来人の方は、朝比奈さんに何とかしてもらいましょう」 まあな。朝比奈さん(大)だって、あのいけ好かない野郎に好き勝手させるつもりはないだろう。 「問題は、情報統合思念体製ではない人型端末です。何を考えてるのか、全く読めません。長門さんの手に余るようなことがあれば、厳しい状況ですね」 「長門だけに負担をかけるようなことはしないさ。俺たちでも何かできることはあるだろ」 「僕もできる限りのことはしますよ。でも、万能に近い宇宙存在に比べると、我々はどうしても不利です。こればかりは、いかんともしがたい」 それを覆す切り札がないわけではないがな。 だが、それは諸刃の刃だ。 「ところで、おまえのところにハルヒから連絡がなかったか?」 「いえ、何もありませんでしたが、何か?」 「いや、明日の朝9時に集合って一方的に通告されたんだが」 古泉のところに連絡がないとすれば、どうやら、明日ハルヒのもとに召喚されるのは、俺だけらしいな。 「ほう。デートのお誘いですか? これはこれは。羨ましい限りですね」 「んなわけないだろ。どうせ、俺をこき使うような企みがあるに違いないぜ」 「涼宮さんも、佐々木さんとの遭遇で、気持ちに変化が生じたのかもしれませんよ。奇妙な閉鎖空間については、先日お話ししたかと思いますが」 「あのハルヒに限って、それはありえんね」 「修羅場にならないことを祈りますよ。僕のアルバイトがさらに忙しくなるようなことは避けてほしいですね」 「勝手に言ってろ」 古泉との電話はそれで打ち切られた。 次は、長門だ。 今度は、ワンコールで出た。 「…………」 「俺だ。今日会ったあの宇宙人なんだが」 「彼女は、広域帯宇宙存在の端末機」 即答だった。 「俺たちを雪山で凍死させようとしやがった奴ってことで合ってるか?」 「そう」 「あの宇宙人とは、何らかの意思疎通はできたのか?」 「思考プロセスにアクセスできなかった。彼女の行動原理は不明」 「広域帯宇宙存在とやらの考えも分からんか」 「情報統合思念体は彼らの解析に全力を尽くしているが、成果は出ていない」 「そうか」 このあと、長門は、淡々とした口調でこう告げてきた。 「私は、情報統合思念体から、最大限の警戒態勢をとるよう命じられた」 長門の抑揚のない声が、異様なまでに重く感じられた。 γ-3 ハルヒにこき使われるに違いない明日に備えて寝ようとしたところを、妹が襲撃してきやがった。 しぶしぶ、妹の宿題につきあうこと1時間。 シャミセンと戯れ始めた妹を、シャミセンごと追い出すと、俺はようやく眠りについた。 γ-4 翌、日曜日。 妹のボディプレスで起こされた俺は、朝飯を食って、家を出た。 「遅い! 罰金!」 もはや規定事項となった団長殿の宣告も、今日ばかりは耳に入らなかった。 なぜなら、ハルヒの隣に意外な人物が立っていたからだ。 「なんで、おまえがここにいるんだ?」 ハルヒの隣には、佐々木の姿があった。 「酷いな、キョン。僕がここにいるのがそんなに不思議かい? まあ、驚くのは無理もないが、そんなに驚くことはないじゃないか。昨日、涼宮さんに電話で提案してみたのだよ。昨日会ったのも何か縁だろうから、いろいろと話し合いたいとね」 「あたしも聞きたいことがいろいろとあるし、快諾したってわけ」 ハルヒ。佐々木がお前の電話番号を知っていることを不思議に思わなかったのか? まあ、橘京子あたりが調べて佐々木に教えたんだろうけどな。 「事情は分かった。だが、なんで俺まで一緒なんだ? 話し合いたいことがあるなら、二人で話し合えばいいことだろ?」 「キョン、君は相変わらずだね。この調子じゃ、涼宮さんもだいぶ苦労してるんじゃないかな」 待て。なんでそんなセリフが出てくるんだ? この唯我独尊団長様に苦労させられてるのは、俺の方だぜ。 「フン。いつものところに行くわよ!」 なぜか不機嫌になったハルヒの号令のもと、俺たちはいつもの喫茶店に向かった。 ハルヒは、俺の財政事情には何の考慮も払わず、ガンガン注文を出しまくった。 話し合いというのは、何のことはない。 俺の中学時代と高校時代のことを互いに話すというものだった。 まずは、ハルヒが、佐々木に、高校時代の俺のことについて話した。 なんというか、話を聞いているうちに、俺は自分で自分をほめたくなってきたね。ハルヒにあれだけさんざん振り回されてきても、自我を保持している自分という存在を。 「キョン。君は、実に充実した学生生活を送っているようだね」 それが佐々木の感想だった。 なんだかんだいっても、充実していたというのは事実だろう。 だが、俺はこう答えた。 「ただ単にこき使われてるだけだ」 「くっくっ。まあ、そういうことにしておこうか」 次は、佐々木が、ハルヒに、中学時代の俺のことについて話した。 話を聞いているうちに、ハルヒの顔がどんどん不機嫌になっていく。 聞き終わったハルヒは、不機嫌な顔のままで、こう質問してきた。 「ふーん。で、二人はどういう関係だったわけ?」 「友人よ」 さらりとそういった佐々木を、ハルヒはじっとにらんでいた。 「あのなぁ、ハルヒ。確かに誤解する奴はごまんといたが、俺たちは友人だったんだ。やましいことなんて何もないぜ」 「友人以上ではなかったってこと?」 「それは違うわよ、涼宮さん。正確には、友人『以外』ではありえなかったというべきね。少なくても、キョンにとってはそうだったはず」 どこが違うんだ? 俺のその疑問には、誰も答えてはくれなかった。 「はぁ……」 ハルヒは、大げさに溜息をつきやがった。 「あんたが嘘をついてるなんて思わないわよ。でも、嘘じゃないなら、なおのこと呆れ果てるしかないわね。あんた、そのうち背中からナイフで刺されるわよ」 おいおい、物騒なこというなよ。 ナイフで刺されるのは、朝倉の件だけで充分だ。 「僕も同感だね」 佐々木まで賛同しやがった。 俺がいったい何をしたってんだ? 茶店代は当然のごとく俺の払いとなった。 総務省に俺を財政再建団体の指定するよう申請したい気分だ。俺の懐具合が再建するまでには、20年はかかるだろうね。 そのあと、三人で不思議探索となった。 傍から見れば、両手に花とでもいうべきなんだろうが、この二人じゃ、そんな風情じゃないわな。 そういえば、ハルヒとペアになるのは、あの日以来か。 結局のところ、俺はハルヒにさんざん振り回され、佐々木の小難しいセリフを聞き流しながら、一日をすごすハメになった。ついでにいうと、昼飯までおごらされた。 そして、駅前での別れ際。 俺がふと振り返ると、ハルヒと佐々木は二人でまだ何か話していた。 何を話しているかは聞こえなかった。 知りたいとも思わなかった。この時には。 γ-5 月曜日、朝。 昨日の疲れがとれず、俺は重い足取りで、あのハイキングコースを這い上がった。 学校に着いたころにはずっしりと疲れてしまい、早くも帰りたくなってきた。そんなことは、俺の後ろの席に陣取る団長様が許してくれるわけもないが。 ハルヒは、微妙にそわそわした感じだった。 また、何か企んでいるのだろうか? 俺が疲れるようなことでなければいいのだが。 疑問には思ったが、疲れた体がそれ以上考えることを拒否し、俺は午前中の授業のほとんどを睡眠という体力回復行為に費やした。 寝ている間に、何か長い夢を見たような気がしたのだが、目が覚めたときにはきれいさっぱり忘れていた。 昼休み。 なぜかハルヒが俺の前の席に陣取り、椅子をこちらに向けてドカッと座った。 俺の机の上に、弁当箱を置く。 「今日は弁当なのか?」 「そうよ。そんな気分だったから」 机の上には、俺の弁当箱とハルヒの弁当箱が並んでいる。 こうして、二人で向かい合って、弁当を食うハメとなった。 なにやら誤解を受けそうな光景だ。実際、クラスのうち何人かがこちらをちらちら見ながら、こそこそと話をしている。 ハルヒは、相変わらず健啖ぶりで、弁当を平らげていた。 「その唐揚げ、おいしそうね」 ハルヒは、そういうや否や、俺の弁当箱から、唐揚げを取り上げ、食いやがった。 「ひとのもん勝手にとるな」 「うっさいわね。しょうがないから、これをやるわよ」 ハルヒは、自分の弁当箱から玉子焼きを箸でつまむと、そのまま俺の口に突っ込んだ。 「むぐ」 クラスの女子から、キャーというささやき声が聞こえる。 とんだ羞恥プレイだな。 こりゃいったい何の罰ゲームだ? 「感想は?」 ハルヒが、挑むような目つきで訊いてきた。 「うまい」 実際、それはうまかった。 「当たり前でしょ! 団長様の手作りなんだからね!」 そういいながら、ハルヒの顔は上機嫌そのものだった。 だがな、ハルヒよ。 いくらお前が鋼の神経をしているとはいえ、こういう誤解を受けかねないような行為は避けるべきだと思うぞ。 まあ、誤解する奴はいくら説明してやったってその誤解を解くようなことはないんだけどな。 俺が中学3年生時代の経験で学んだことといえば、それぐらいのものだ。 その日の放課後、俺とハルヒはホームルームを終えた担任岡部が教卓を降りると同時に席をたち、とっとと教室を後にした。 いつものように部室に行くのかと思いきや、 「キョン、先に行っててくんない? あたしはちょっと寄るところがあるから」 ハルヒは鞄を肩掛けすると、投擲されたカーリングの石よりも滑らかな足取りで走り去った。 はて、何を企んでるんだろうね? そういや、あいつは、朝から妙にそわそわした感じだったな。 まあ、考えても仕方がないので、俺はそのまま部室に向かった。 γ-6 部室に入ると、既に長門と朝比奈さんと古泉がそろっていた。 「涼宮さんは?」 古泉がそう訊いてきたので、答えてやった。 「授業が終わったとたんにどっかにすっ飛んでいきやがったぜ」 「そうですか。何かサプライズな出来事を持ってきてくれるかもしれませんね」 「世界が終わるようなサプライズは勘弁してほしいぜ」 「まあ、それはないでしょう」 そこに、SOS団の聖天使兼妖精兼女神様である朝比奈さんがお茶を出してくれた。 「どうぞ」 「ありがとうございます」 「ところで、昨日はどうだったんですか?」 古泉がにやけ顔で訊いてきやがった。 いつもだったら無視しているところだが、あの佐々木の周りにはSOS団と敵対している超常野郎が集まっている。一応、古泉の見解も聞いてみたかった。 俺は昨日の出来事をはしょりながら説明してやった。 「おやおや。まさに両手に花ではありませんか?」 「あの二人じゃ、とてもじゃないがそんな気分にはなれなかったね」 「まったく、あなたという人は」 「それより、佐々木のやつは、あいつらに操られてるんじゃないだろうな?」 心配なのは、そこのところだ。 「それはないと思いますよ。昨日の一件は、佐々木さんの自由意思でしょう。問題は、その自由意思を利用しようとする輩が現れることです。先日もお話ししましたが、特に警戒すべきは周防九曜を名乗る個体です」 俺は、長門の方を見た。 「長門の意見はどうだ?」 長門は、分厚いハードカバーから視線を離さず、淡々と答えた。 「私も、古泉一樹の意見に同意する」 「そうか」 一応、もう一人のお方にも聞いておくか。 「朝比奈さん」 「はい?」 「二月に会った、あの未来人のことですが」 「ああ、はい。覚えてます」 「あいつらが企んでいることって何ですか? ハルヒの観察ってわけでもないらしいって感じなんですが」 「えーっと……あの人の目的は、そのぅ、あたしには教えられていません。でも、悪いことをするために来たんじゃないと思います」 うーん。自分を誘拐した犯人たちの仲間だというのに、不思議なことに、朝比奈さんはあの野郎には悪い印象は持ってないようだ。 仏様のように広い御心の持ち主なのは結構ですが、もうちょっと警戒心とかを持った方がいいと思いますよ。 それはともかく、とりあえず、警戒すべきは周防九曜を名乗る宇宙人もどきであるというのが、結論になりそうだな。 その話題は、そこで打ち切りになった。 「どうです、一勝負」 古泉が出してきたのは、囲碁かと思ったら、連珠とかいう古典ゲームらしい。 「五目並べのようなものです。覚えたら簡単ですよ」 俺は古泉の言うままに盤上に石を置きながら、実地でだいたいの遊び方を教わった。 朝比奈さんのお茶を片手に二、三試合するうち、たちまち俺は古泉に連戦連勝するようになる。 いつもどおりまったりと時間が過ぎていった。 それにしても、ハルヒは遅いな。 そう思った瞬間に、爆音とともに扉が開いた。 「ごめんごめん。待たせたわね!」 部室にいた団員全員の視線が、ハルヒに集ま……らなかった……。 団員の視線は、ハルヒの後ろに立っている人物に集中していた。 「みんな! 今日から入団した学外団員を紹介するわ! 佐々木さんよ!」 そこにいたのは、紛れもなく佐々木だった。 続き 涼宮ハルヒの驚愕γ(ガンマ)
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. 【作品名】涼宮ハルヒシリーズ 【名前】涼宮ハルヒ 【属性】女子高生、SOS団団長、世界の中心 【大きさ】女子高生並 【攻撃力】【防御力】【素早さ】 スポーツ万能の女子高生並。 【特殊能力】 世界改変:無意識のうちに世界を改変したり、新しい世界(時空)を作れる。 望んだことが現実になるが本人は能力を知らない、任意では使えない。 ただし、作中で能力は世界改変ではないとの意見も一部ある上、 その他も色々詳細不明なとこが多いので省略する。 【長所】運動能力は高い 【短所】詳細不明な能力 【備考】続刊、新情報待ちで今は特殊能力をカットした状態。 神に等しいながらも無自覚で唯我独尊、傍若無人に突き進むヒロイン ―old― 【名前】 涼宮ハルヒ(暴走状態) 【作品名】ハルヒシリーズ 【属性】 世界の中心 【大きさ】人間並み 【攻撃力】一般的な体育会系女子高生並み 【防御力】一般的な女子高生並み 【素早さ】一般的な体育会系女子高生並み 【特殊能力】 新しい時空を生み出し、その時空に移動する。 次元断層の隙間に閉鎖空間を生み出す能力の延長線と思われる。 この新しい時空は最初の内は元の時空と繋がりが有るが、極めて入りにくい。 次元断層の隙間の閉鎖空間に入れる能力者が何人も(少なくとも7~8人)全力を振り絞り、 ようやく幻のような存在を一人送り込み、数分の伝言を届けられる程度。 長門有希も干渉を試みたが、新時空のパソコンに文字情報を送り数分間会話するのがやっとだった。 しばらくすると(長くて数時間)、本来の時空間との連結が完全に消滅し、 更にしばらくすると、本来の現実空間が閉鎖空間に変わってしまうらしい。 古泉曰く『世界の破滅』。 これによる勝ち、あるいは『優勢・封印勝ち』を狙う。 現実空間が閉鎖空間に変わるのに掛かる時間は作中の記述から推測して 長くてもせいぜい丸1日程度。現実空間側からは干渉できない。 世界から逃げられる奴なら別世界に退避してドローには持ち込めると思われる。 ……と、考えたいところだが 実際には世界は滅びていないので単なる時空生成能力である可能性がある。 【長所】 とりあえず運動能力は人並み以上。 【短所】たとえ目の前に宇宙人や未来人や異世界人や超能力者がいても気づかない可能性がある。 この能力で世界を破滅させた実績が無い。(能力を使った時点で逃亡負け) 【戦法】「対戦相手」が何者であるかを知ろうとする。 その後、相手への興味を無くした場合は新時空に移動する。 【備考】ハルヒの無意識が能力を発動するつもりになりそうなぐらい、 この世界をつまらないと思っている状態で参戦。 old-- 【名前】 涼宮ハルヒ(暴走状態) 【作品名】ハルヒシリーズ 【属性】 世界の中心 【大きさ】人間並み 【攻撃力】徐々に世界が崩壊する。長門有希を圧倒する影響力。 【防御力】本人は人並み。ただし新しい時空間に居る。 【素早さ】人間並み。ただし新時空の発動は本人の反応に関係しない。 【特殊能力】 新しい時空を生み出す。 次元断層の隙間に閉鎖空間を生み出す能力の延長線と思われる。 この新しい時空は最初の内は元の時空と繋がりが有るが、極めて入りにくい。 次元断層の隙間の閉鎖空間に入れる能力者が何人も(少なくとも7~8人)全力を振り絞り、 ようやく幻のような存在を一人送り込み、数分の伝言を届けられる程度。 長門有希も干渉を試みたが、新時空のパソコンに文字情報を送り数分間会話するのがやっとだった。 しばらくすると(長くて数時間)、本来の時空間との連結が完全に消滅し、 更にしばらくすると、本来の現実空間が閉鎖空間に変わってしまうらしい。 古泉曰く『世界の破滅』。 これによる勝ち、あるいは『優勢・封印勝ち』を狙う。 現実空間が閉鎖空間に変わるのに掛かる時間は作中の記述から推測して 長くてもせいぜい丸1日程度。現実空間側からは干渉できない。 世界から逃げられる奴なら別世界に退避してドローには持ち込めると思われる。 【長所】能力者でも殆ど侵入できないハルヒ時空に居る。本人の反応が無関係。 【短所】ハルヒ時空に侵入されると一般人としての描写しかない。 【戦法】開始と同時(本人の反応とは無関係)に世界から消失し、新時空に現れる。 後は待つ。新時空に侵入されたら投了。 【備考】ハルヒの無意識が能力を発動するつもりになった瞬間で参加。 31スレ目 594 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2008/06/01(日) 18 19 02 ID 5niD0JMR 作成者ではないが、修正待ちの涼宮ハルヒを修正 野球バット装備も考えたが ルールの「・装備品の武器利用に関して」に引っ掛かるようなのでパス ザ・スニの短編「ハルヒ劇場」のとこから装備や描写引っ張れるかもしれないが自分は今手元に無い なのでそのへんは持ってる人にまかす。 取り合えずのところはこれで考察待ちにいけるかな? 642 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 23 42 44 ID Kr8Ajs8+ 594涼宮ハルヒの考察 リニア>涼宮ハルヒ>高須竜児> 30スレ目 459 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 10 58 13 ID i0ET+sI5 WB勢、一方通行、ハルヒ勢、この辺はもう定番だねぇ。 ハルヒの特殊能力なんてまだ推測の部分が色々あるだろ こんなもんマッハ没で考慮外にでもしてしまって。 【戦法】「対戦相手」が何者であるかを知ろうとする。 その後、相手への興味を無くした場合は新時空に移動する。 【備考】ハルヒの無意識が能力を発動するつもりになりそうなぐらい、 この世界をつまらないと思っている状態で参戦。 基本は全力で戦闘、性質ならともかく性格は考慮外、ハルヒは自分の能力知らない。 考察する人のイメージによって、ハルヒが対戦相手に興味持つか持たないか左右されるなんて×。 何者かを知ろうとか、興味がどうとか抜きで戦法は殴り蹴り。 そもそも今の「つまらないと思ってる」状態はルールからすれば作中「最強」の状態ではないだろ(逃亡負けの可能性があるから) これは「新しい時空を生み出せれる」状態でね? 「暴走」でなく「平常」の状態で参戦して 【特殊能力】は詳細不明で考慮外、あるいはルール的に考察不能なので省略のどちらかにして 【戦法】は殴り蹴り、【備考】は消して 新刊でるか完結するまで、スポーツ万能の女子高生並として参戦、あるいは修正待ち送り これでめんどいことにはならない。 460 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 01 27 14 ID lSMOyESz 459 むしろハルヒの雑魚っぷりはネタとして残しておいていいと思うが 下手に普通の女子高生並みにするより特殊能力で自滅させとくほうが信者も諦めがつきやすいと思うぞ …その信者ってのは俺のことだがなorz 長門の初期のテンプレ、今見ると信者臭バリバリで痛すぎる… 461 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 08 12 04 ID CWNpoSFc ネタとして本音は残したいのは分かるが、建前としてルール的に微妙だから普通の方がいいだろ。 信者目線からすると、自滅になるから逆に腹たってあげたくなるんじゃね? 19スレ目 932 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/15(火) 21 51 52 ID 0/lDETpn 930 上級超能力ぐらいで既に核無効が結構あるし渡り合えるんじゃない? ところでよく考えたら、 バルーンマン ハルヒに負け、かおりに勝ち(蚊の雌じゃ萎まないよね?) 涼宮ハルヒ かおりに逃亡負け、バルーンマンに勝ち 吉永かおり ハルヒに勝ち、バルーンマンに負け 秋庭里香>バルーンマン=吉永かおり=涼宮ハルヒ>エルメス だね 14スレ目 779 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 11 47 00 ID PpYT8cW1 とりあえず 暴走ハルヒ テンプレの問題点 しばらくすると(長くて数時間)、本来の時空間との連結が完全に消滅し、 更にしばらくすると、本来の現実空間が閉鎖空間に変わってしまうらしい。 古泉曰く『世界の破滅』。 これによる勝ち、あるいは『優勢・封印勝ち』を狙う。 本来の現実世界が破滅するというのは作中人物の勝手な予想であり、作品内には現 実世界が破滅する描写は無く、過去にハルヒが世界を破滅させたという事実も無い。 描写のみを信用する限りでは、 自分が生み出した閉鎖空間に移動して、現実世界と 閉鎖空間との間の連結を切断する までしかできないので 「最終的に攻撃に繋がる戦術もなしに逃げつづけるのは不可」のルールに反する。 【戦法】開始と同時(本人の反応とは無関係)に世界から消失し、新時空に現れる。 後は待つ。新時空に侵入されたら投了。 【備考】ハルヒの無意識が能力を発動するつもりになった瞬間で参加。 ルール1-4「お互い対戦相手の前情報は無し。ただし、対戦相手の存在は知っている ものとする」によると対戦開始時点でハルヒは 何者かは不明だが敵であることはわ かっている者 が存在することを知っていることになる。 ハルヒならば、そんな奴に興味を持つのは当然で、能力の発動自体を(もちろん無 意識的に)やめたり、ハルヒ自身に加えて対戦相手も同時に閉鎖空間に移動させて しまう可能性がある(作中描写ではハルヒとキョンを移動させた)のでこの戦法は 成立しない。 780 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 12 11 04 ID O4GLDjg+ 性格非考慮な最強スレにおいて本人の性格に左右される能力は考察しずらい 781 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 12 33 27 ID XkptX9KS 杓子定規に考えれば、普通の女子高校生で飽きたら逃亡して敗北というキャラか 782 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 16 18 27 ID PpYT8cW1 ハルヒの能力の発動条件を 対戦相手への興味を失うこと に設定して、能力を使っ たら逃亡負けというルールで考察してみる。 ちなみにハルヒは校内でもトップクラスの運動能力を持っています。 ?エベネゼル 普通のパソコンにしか見えないならば逃亡負け。超常現象的な特徴 (しゃべるとか)があれば電源を切って勝利。その後、変なパソコンをSOS団に勧誘。 ○エルメス 蹴り倒して勝利。その後、しゃべるバイクをSOS団に勧誘。 ○藤崎隆文 半分にちぎれた人間に意表をつかれて能力の発動が遅れる。隆文の 自爆負け。 ×秋庭里香 肝心の 敵 が病弱なだけの女子高生と知って失望。逃亡負け。 ?ライオット 普通人と見分けがつかなければ逃亡負け。ロボットらしい外見 ならば殴り倒してSOS団に(ry △L様 異世界人らしい格好をしているならばSOS団に勧誘。勝てないけど。 ×福沢祐巳 失望逃亡負け。 ○ルーミィ シルバーブロンドの幼女が変な言葉をしゃべり始めたと思ったら、杖 から炎が! ひっぱたいてからSOS(ry ○モエかん 常人以上の動きで少女だかアンドロイドだかが襲い掛かってきたら ハルヒだって本気で応戦する。 ×主人公(卓ビー) 主婦が重そうな盾持ってるだけじゃハルヒの興味は引けんだろ。 ×姉原聡史郎 少し強めの男子高生が相手だとさすがに無理か。 783 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 16 36 04 ID H7SsLQ0L L様は見えんぞ。異世界挟んで開始だし。 784 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 16 51 52 ID CASWFQK/ 大河原リキコ>柴崎倖一>クレア>宇野辺虎雄>堀田陽介>雨霧八雲>矢吹真吾>黒峰キリコ>洗脳装置>藤倉冬麻>イッコ ×リキコ~キリコ ○洗脳装置 武器ありで勝てる。 ○藤倉 武器があるから勝てる。 ○イッコ 武器あり価値。 785 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 17 35 13 ID PpYT8cW1 間違えたorz 「モエかん」は作品名だ 786 名前:782[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 17 40 00 ID PpYT8cW1 783 正確にはリナを勧誘 787 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 17 42 17 ID CASWFQK/ 786 どっちにしろ、開始距離がトンデモナク離れてるから無理だと思うんだが。 788 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 17 58 23 ID UPx95pRm 784 それは 777の考察? 786 なんか勘違いしてない? L様はL様単体でエントリしてるからリナもクソも無いぞ 相手が見えずつまらなくなって逃亡負け 789 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 18 01 53 ID CASWFQK/ 788 両方に答えるが、その通りです。 790 名前:782[sage] 投稿日:2006/05/24(水) 18 04 07 ID PpYT8cW1 勘違いしてた。 世界4つ分離れた位置にいるリナに憑依しているL様ということだな。 △L様 異世界人らしい格好をしているならばSOS団に勧誘。勝てないけど。 ↓ ×L様 対戦相手が現れないことに失望して逃亡負け。 822 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/25(木) 13 46 48 ID w54ycOBn ハルヒの勝敗はこうなるか。 ○エベネゼル パソコンをいじっているうちに人間並みの知能を持つ変なパソコン だとわかったので電源を切って勝利。その後SOS団に勧誘。 ○エルメス 蹴り倒して勝利。その後、しゃべるバイクをSOS団に勧誘。 ○藤崎隆文 半分にちぎれた人間に意表をつかれて能力の発動が遅れる。隆文の 自爆負け。 ×秋庭里香 肝心の 敵 が病弱なだけの女子高生と知って失望。逃亡負け。 ×ライオット 髪を染めただけの少年にしか見えない。逃亡負け。 ×L様 敵が現れない。逃亡負け。 ×福沢祐巳 論外。逃亡負け。 ○ルーミィ シルバーブロンドの幼女が変な言葉をしゃべり始めたと思ったら、杖 から炎が! ひっぱたいてからSOS(ry ○リニア 常人以上の動きで少女だかアンドロイドだかが襲い掛かってきたら ハルヒだって本気で応戦する。 ×主人公(卓ビー) 主婦が重そうな盾持ってるだけじゃハルヒの興味は引けんだろ。 ×姉原聡史郎 少し強めの男子高生が相手だとさすがに無理か。 13スレ目 55 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 14 26 22 ID O2OyQ3Wu そういえば暴走ハルヒってダメだったの? 性格とか考えなければいけるような気がする 56 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 14 38 36 ID WXe7lOrX 55 実際に戦闘させた場合何が起こるかわからん過ぎるから無理。 ないから。 67 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 17 06 13 ID fL3oWVL5 まあ実は半分程度しか読んでないから知らない所も有るんだけど。 50 射程は接触が必要。 空飛べる奴には当てられないか? でかい奴なら最初に乗っかってしまう手が有るだろうけど。 瞬間移動してたはずだが、転移可能距離がよく判らないしな。 51 阻害されなければ~ 阻害されてしか使ってない。 だからその時の『阻害されまくって数分』のテンプレとなる。 能力消去 前のテンプレ書いた人、ヘルプ。知らないのだ、この場面は。 異空間の存在を感知し侵入 異空間転移だったと思う。 52 それだ。その描写を希望。読んでない巻っぽいので。 55 暴走ハルヒは本人に戦ってるという意識自体が無いから違うだろという話になった。 戦闘方法も本人さえ気づかない内に世界を滅ぼして勝利、だし。 56 いや、暴走ハルヒの行動は相手とか関係無く判りきってる。 このスレのルールだと相手を視認する前に自分の能力が発動して本人が異世界に消えちゃうから。 73 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 17 26 58 ID DGAwpdMI ハルヒのテンプレ見てきたが突っ込みどころ満載だな なんで最初から別空間にいるねんとか能力発動直前で参戦とか無理にきまってるじゃんみたいな 97 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 22 14 19 ID fbddNcfB 73 別空間に居るのは開始と同時に能力が発動するからだろう。 能力発動直前なのは条件を満たすと自動発動する能力だからかと。 本人の意識が関係しない常時発動能力の一種だから、開始と同時に発動。 常時発動能力が開始と同時に発動する状態で参戦してる奴は他にも居ると思うが。 98 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 22 21 35 ID yh5EEUWj 97 まず第一にハルヒの能力は常時発動じゃない訳だが あれは制御不能な任意全能キャラだろ 99 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 22 22 17 ID DGAwpdMI ハルヒの意思(まぁ無意識みたいだけど)が世界を改変する以上 ハルヒの思考よりも能力発動が早いとはかんがえられん 100 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 22 42 17 ID fbddNcfB 99 無意識だからな。 本人の世界への感想が『飽きちゃった』になった状態だともう自動発動じゃないか? ああ、ただこれを作中最強『状態』と見るかは微妙かもね。 作中最強の精神状態ではあるんだけど。 101 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 22 58 20 ID i+m0wjmd 飽きた瞬間能力が自動発動して異世界飛ぶからアウト 飽きる前は自力で能力発動できないからこれもアウト 飽きる直前とかいう訳解らん精神状態もアウト 102 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 23 12 22 ID DGAwpdMI ハルヒがこんな世界いやだとか飽きたとすいう思考によって能力発動なんだから 最低でもハルヒが思考しなきゃ発動しないだろ 103 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/07(日) 23 24 59 ID PHK3VHbo どっちにしろ消極的過ぎて参戦するのは無理だろ 自発的に相手に攻撃すらしないんだから 115 名前:100[sage] 投稿日:2006/05/08(月) 01 50 38 ID S08StwoG 101 だからその一つ目はなぜいかん? 102 その無意識の方針は既に決まって能力が『世界崩壊』になってるのが 作中最強状態の『暴走状態』と考えてます。 でもこれを作中最強『状態』と見るか、戦闘始まってからすべき『思考』 (まあ自発的にそんな思考は出来ないわけだけど)と見るべきかが微妙、と。 103 まあ、なんだかんだ言っても結局そういう事だよね。 120 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/08(月) 02 32 43 ID E3bASHDh 115 試合開始場ルール。戦闘開始はお互い向き合った状態で。異世界にいる状態でエントリーは不可 121 名前:120[sage] 投稿日:2006/05/08(月) 02 46 43 ID E3bASHDh 連投で補足すれば飽きた瞬間発動するなら試合開始前すでに異世界にいる状態になる 飽きてるけど異世界に移動していないってのはいわゆるかめはめ波を撃って発動したけど 相手に到達していない状態(もしくはチャージ全開で溜めありの技をいつでも撃てる状態)と同義になるので反則 あと思考は完全に自発行動だから状態ではない。「暴走状態」という すでに完成したステータスは成立するけどハルヒはその場合異世界に移動してしまうからルール違反 6スレ目 232 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/05(土) 17 14 57 ID yC2k8G2V とりあえずプロメテウスには勝てそうにないな 後は任意全能集団でかてるかどうかで全能っぽい力なきゃ負け 233 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/05(土) 17 32 27 ID zNl1kxDk 現実空間が閉鎖空間に変わるのに掛かる時間は不明だが 不明ならテンプレとして認められないと思うよ。 234 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/05(土) 17 37 07 ID yHKFktdv そもそも開始前から別時空にいるってのが無しだと思うんだが。 どう考えても戦闘開始後に展開だろ。 任意に能力使えないから姉原聡史郎以下か? 235 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/05(土) 17 41 58 ID 7FceyZ+R 231 この能力は自分で任意でしているわけじゃなさそうだし そのあと勝手に戦闘が終わるという話だから消極的過ぎてダメじゃないか? 任意で攻撃もしないようだし、やっていることは餓死狙いと変わらと思うけど 237 名前:231 投稿日:2005/11/05(土) 18 37 13 ID aodRcTb9 233 じゃあ作中の記述から推測。長くてもせいぜい丸1日程度。 234 ハルヒの無意識が能力を発動するつもりになった瞬間で参加だ。 開始と同時(空間支配などと同じ扱い)であって、戦闘開始後ではない。 その後、思考すらなくその瞬間に発動し、ハルヒは消失してハルヒ時空に現れる。 235 餓死とはハルヒの力による破滅(現実空間の閉鎖空間化及び破滅)が訪れる点が違う。 ただ、消極的すぎるというのは否定しない。 そもそもハルヒ自体制御できてないどころか気づいてもいない能力だし。 参戦してるキャラだと、古猟邦夫が赤ちゃんの時期に参戦するような物か。 自動発動とか空間支配と同列には扱えないだろうか? 扱えないならこのテンプレは引っ込める。 253 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/06(日) 16 03 47 ID 8QvMMC6+ 結局、 231のハルヒのテンプレはどっかルールに引っかかるのかな? エントリー出来るならナイトウォッチの前後になりそうだけど。 入りにくい別時空に入った事が有るキャラが殆ど居ないから。 プロメテウス~クルスディア ×?○○△?○○×○△?? ×:プロメテウスにはどーにもならん。 ?:ナイトウォッチは物質を異次元に吹っ飛ばす攻撃が効果有るか判らないため。 ?:ジャグヘッドは時間軸ごと吸い込む攻撃が一瞬前のハルヒを巻き込んだり出来るのか判らん。 ×:姫城玲の超光速指弾は時間を遡るため、戦闘開始前のハルヒを撃破できる。 △:竜鬼神は少なくとも世界崩壊からエスケープ出来るだろう。ハルヒ世界に入れても人間殺せず。 ?:戦天使も同じく。もしハルヒ世界に入れればサックリ。 ?:クルスディアは任意全能でやられるかわからん。 254 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/06(日) 16 16 17 ID UEBSl0bu 任意で能力を展開できないってツッコミは無視してるのか? 255 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/06(日) 16 20 58 ID 8QvMMC6+ 254 自動発動能力で戦うのは結局無しなのか? 例えば、古猟邦夫は能力を制御できる前だと参戦出来ないの? それによってルールに引っかかるかどうかが決まりそうなんだけど。 256 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/06(日) 16 27 51 ID 3bWAaesY その前に消極的過ぎてダメだと思うんだ あきらかに自分の意思で攻撃しているわけではないし 空間に移動したあとも自分で任意に攻撃することなし これで相手と戦ってるといわれても疑問に思わないか? 261 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/11/06(日) 16 46 17 ID GCC1eWNn ハルヒの別時空への移動と、元いた世界の破壊をするためにはこの世界がつまらないと思う必要がある。 目の前に何かわからないものが存在する時点でつまらないとは思わんだろうね。 相手が何であるかを知り、それでもつまらないと思わなければ別次空への移動は無理じゃないか? どんなに高くても殺人鬼の壁を越える事は不可能か。 263 名前:253 投稿日:2005/11/06(日) 16 47 44 ID 8QvMMC6+ 256 ああ、そういう事か。 確かに戦ってると言えるような物では無いな。納得。 .
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涼宮ハルヒのOCG(ハルヒ×遊戯王5D`S OCG) 今回初投稿させていただく者です。よくわからないことが多くて、更新履歴をややこしくしてしまってすいません。これからもよろしくお願いします。 ・涼宮ハルヒのOCG① ・涼宮ハルヒのOCG② ・涼宮ハルヒのOCG③ ・涼宮ハルヒのOCG④
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(Aルート) キョン「俺はハルヒたち(ハルヒ、長門、朝比奈さん、朝倉の5人)と町の郊外にある山でキャンプをする事になった、噂ではこの山の付近で人食い事件があるという、10人前後で人を襲い食い殺すという狂った事件だ、俺は行きたくないと言ったが、ハルヒは「面白そうじゃない、キャンプがてらその事件を調査しましょ」と言い、無理やり連れてこられた、ちなみに古泉、鶴屋さんも誘ったが用事でこれなくなったらしい。 この時点では、人食い事件なんて単なる噂だと思っていた、しかし・・・悪夢は始まった。・・・ キャンプ当日の夜、5人でたき火に当たってた時、 盛り上がっていたせいか、俺は歌を歌っていた。 キ「止められない、この想い~明日が来なく~ても、抱きしめたい、折れるほど~爪痕は、消えないい~」 ハ「あはは、キョンなんなのよその歌~」 そして歌い終わると・・・ ハ「なにか聞こえない?」ハルヒは言った。 ガルル、 キ「犬の声か」 と、その時、草むらから3匹の犬が飛び出てきた、 キ「な、なんだこの犬は!」 その犬は口からヨダレをたらし、飢えているようだ、そして襲ってきた! キ「と、とりあえず逃げるぞ!」 5人で逃げ出した、とにかく必死で逃げた、しばらくして。 キ「あ、あれ?朝倉と朝比奈さんは?」 後ろを振り向くとハルヒと長門しかいなかった。 キ「くそ、はぐれたか、ん?」 前を見ると森の向こうに洋館があった。 キ「ハルヒ、長門、あの館まで走れ!」 なんとか館まで逃げ切れたのは俺(キョン)ハルヒ、長門の3人、朝比奈さんと朝倉とははぐれてしまった。 キ「ここは・・・」 ハ「わぁ、すごい館ね・・」 ハ「あれ、みくるちゃんと朝倉は・・・・」 ハルヒは今気付いたようである、ハルヒはあわてて外に出ようとした。 キ「待て、外は危険だ、」 ハ「でもみくるちゃんたちが・・・・」 とその時、「バン」と奥の部屋から銃声が聞こえた。 ハ「何、今の・・・」 キ「朝倉か?・・」 ハ「キョン、ちょっと見てきてくれない?」 キ「わかった」 長「私も行く、」 ハ「わかったわ、じゃあ私はここを(ホール)を確保しておくわ。 奥の部屋に入ろうとした時、ハルヒはこう言った。 ハ「気をゆるしちゃだめよ!」 キ「ああ」 ドアを開けた、そこは食堂だった。 長「食堂ね・・」 俺は近くにあった時計を見ていた、その時長門が。 長「!これは・・・} 俺はすぐに長門の元へ走った。 キ「どうした?」 長「血・・・」 床には血が広がってた。 長「他を調べてきてくれない?」 長門はそう言った。 キ「わ、わかった、その血が朝比奈さんや朝倉ものでなきゃいいが」 横には扉があった。 キ「じゃあちょっと見てくる」 と言い、おれは隣の部屋に行った、部屋の奥から物音がした。 キ「そこに誰かいるのか?」 ジュル、ジュル、と何かを食べてるようだ・・ 奥に進むとそこには、ゾンビが人を食っていた。 キ「うわあああああ」 俺は慌てて部屋を飛びだし、長門の元へ駆け寄った、 キ「おい長門・・・・」 長「どうしたの・・・」 ガチャン、後ろの扉からゾンビがやってきた。 長「何これ・・・」 キ「うああ、気をつけろ、そいつはバケモノだ!」 長「私にまかせて・・」 そう言うと長門はポケットから拳銃(コルトパイソン)を取り出した。 バン、バン、ゾンビを倒した、倒れたゾンビを見て長門は。 長「なんなの、これ?」 キ「奥の部屋でそいつが人を食っていた」 長「・・・・・・」 キ「しかし危なかったぁ、ところでその銃は?」 長「そこに置いてあった・・」 キ「そ、そうか・・」 長「はい、」 長門が俺に銃を渡した、 長「もう一つ置いてあった、護身用に持ってて、」 キ「ああ、ありがと、」 拳銃(べレッタ)を受け取った、 キ「とりあえず、ハルヒに報告しよう」 長「うん」 俺と長門はホールに向かった、ホールに着くとそこにハルヒの姿はなかった・・・ キ「ハルヒィーーーーーーー」 俺は叫んだが返事はない、 キ「長門は1階を探してくれ、ホールから出るなよ、」 長「わかった」 俺は階段を駆け上がり、2階のホールを見渡した、しかしいない・・・ 1階に戻り、長門と合流する、 キ「どうだった?」 長「いなかった・・・」 キ「どうなってるんだ・・・ハルヒまでいなくなるなんて・・」 長「落ち着いて、・・とりあえずあなたは1階から調べて、私はもう一度食堂を調べる・・」 キ「ああ」 長「これ、キーピック、鍵の掛ってる机や一部の扉はこれで開くはず・・」 キ「ああ、ありがと、」 長「何かあったらこのホールで落ちあいましょう・・・」 キ「わかった・・・必ずだぞ・・」
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「おかえりなさいませ、ご主人様」 夕焼けで学校が赤く染まる頃、学校にようやくたどり着いた俺を待っていたのは、変態野郎からの気色悪い発言だった。 あまりの不気味さに、俺はその言葉を発した古泉に銃を向けたぐらいだ。 古泉は困った顔を浮かべて両手をあげて、 「失礼しました。いろいろつらい目にあったようですから、癒しを提供して差し上げようかと思っただけです」 「癒されるどころか、殺意が生まれたぞ」 俺はあきれた口調で、銃をおろす。まあ、本気で撃つつもりもなかったけどな。どうせなら朝比奈さんを連れて……う。 あの後、俺たちは北山公園を南下して無人の光陽園学院に入ったが、敵に動きが悟られないように、 そのまま数時間そこで待機していた。もちろんハルヒには連絡を入れておいたが。 俺はしばらく学校内を見回していたが、古泉が勝手に解説を始める。 「北高の方はほとんど無傷ですね。敵歩兵の襲撃もありません。涼宮さんに作戦失敗を印象づけるには、 北山公園に僕らが入ったのと同時に学校を襲うのがもっとも効果的だと思いますが、 どうして敵はその手を使わなかったんでしょうか。僕が相手の立場なら必ずそのようにしますがね。 ま、大体察しはつきますが」 「しらねえし、今はそんなことを考える気分でもないな」 古泉を無視しつつ、俺は学校内を歩き回る。どこにいるんだ? ふと、俺の目に学校の隅に並べられている黒い物体が目に入った。見るのもいやになるその形状は、 明らかに死体袋だった。あの中に谷口も入れられているのだろうか。 「死者52名、負傷者13名。これが北山公園攻略作戦で出て犠牲です。 死者よりも負傷者が少ないという事態が、今の我々の力のなさの現われかもしれません」 やや声のトーンを起こした古泉が言う。俺の小隊も合計16人の命が失われた。 鶴屋さん小隊なんて生き残った方が少ないし、ハルヒや古泉の小隊の損害もかなりあるはずだ。 と、そこでスマイル野郎が重苦しくなった空気を変えるようにわざとらしくぽんと手を叩き、 「ああ、なるほど。涼宮さんを探しているのですね。それなら、前線基地に詰めていますから、学校にはいませんよ」 「なんだと?」 古泉に向けた俺の表情は、鏡がないんだから確認しようがないんだが、どうやら抗議めいたものだったらしい。 めずらしくあわてたように、 「いえいえ、僕はきちんと止めましたよ。いつもとは違い、かなり食い下がったつもりです。 涼宮さんと言い争い一歩手前までいくなんて初めてでしたからね。閉鎖空間が発生しないかヒヤヒヤものでした。 しかし、どうやってもあそこにいると言い張りまして。ああなったら、てこでも動かないことは あなたもよくご存じでしょう?」 しかし、何でまた前線基地にいるんだ? 敵の襲撃が予想されるのはわかるが、 総大将がいる必要もないだろうに。 「何となく予想がつきますけどね」 古泉はくくと苦笑し、 「涼宮さんはあなたの帰還を学校でただ待っているなんてしたくなかったんですよ。 ぼーっとしているといろいろ悪いことを考えたりしますからね。何かして気を紛らわせたかったんでしょう。 あとは……」 古泉がちらりと背後を見る。そこには朝比奈さんが相変わらずのナース姿でこちらに走ってきていた。 「鶴屋さんのことを直接言いたくなかったんではないでしょうか。これはあくまでも僕の推測ですけどね」 「キョンく~ん!」 息を切らせて走ってくる朝比奈さんに、俺は激しく逃げ出したい衝動に駆られた。こんな気分は初めてだ。 「よかった……無事だったんですね……!」 感激の涙を浮かべる朝比奈さんに、俺の心臓はきりきりと痛んでしまった。この後、確実に聞かれるんだ。 鶴屋さんのことについて。 「本当に心配したんですよぉ……。学校からはなにも見えなくて、どうなっているのか全然わかりませんでしたから」 「ええ、いろいろありましたが、無事に帰って来れてなによりです」 「あ、あと、鶴屋さんは?」 この言葉とともに、俺は心臓がつかみ出されたのではないかと言うぐらいの痛みが全身に走った。 だが、次に朝比奈さんが言った言葉は予想外のものだった。 「古泉くんから聞いたんですけど、鶴屋さん、足を怪我してどこかの民家に隠れているんですよね? あたしもう心配で心配で……」 俺ははっと古泉の方を振り返ると、ウインクで返してきた。この野郎、しっかりと朝比奈さんに事前に告げておいたのか。 変なところで気が利きやがる。でも助かった。そして、つらいことをいわせちまってすまねえ。 「鶴屋さんは無事ですよ。いつものまま元気です。ただ、ちょっと動くには厳しそうなんで、 ばかげたドンパチが収まるまで隠れていた方が良いと思います。幸い、隠れ家には食料もあるらしく、 3日間隠れるには十分だそうですよ」 「無線とかではなせないんですか? あたし、鶴屋さんの声が聞きたくて」 俺はぐっとうなりそうになったが、ぎりぎりで飲み込む。 「えーあー、無線ですか、あー無線なんですけど、なにぶん学校から離れたところにいる関係で、 あまり連絡できないんですよ。敵に――そう敵に傍受されて発信源を突き止められたらまずいですからね」 「そうなんですか……」 がっくりと肩を落とす朝比奈さん。すみません、本当にすみません……! でも、朝比奈さんはそんな俺の大嘘を信じてくれたのか、 「仕方がないですね。みんな大変なんですから、あたしばっかりわがままは言えませんし」 「3日経てば、また会えますよ。それまでがんばりましょう」 何とか乗り切れたか。こんな嘘は二度とつきたくねえ。 と、朝比奈さんはいつものかわいい癒しの笑顔を浮かべて、 「あ、そういえば、皆さんご飯まだなんじゃないですか? 長門さんがカレーを作ってくれたんです。 ぜひ食べに来てください」 神経が張りつめたままだったせいか気がつかなかった。学校中を覆うカレーのにおいに。 ◇◇◇◇ 「食べて」 食糧配給所になっていた教室で待ちかまえていたのは、迷彩服の上に割烹着を着込んだ長門だった。 これだけ見ると、あの正確無比な砲撃の指揮官とは思えない。ちなみに朝比奈さんは作業があると言って、 またぱたぱたとどこかへ行ってしまった。 「すまん、もらうぞ」 「いただきましょう」 俺は紙製の皿にのったカレーを受け取ると、がつがつとむさぼるように食いついた。 よくよく考えれば、15時間近くなにも食べていない。戦闘中は携帯していた水筒の水ぐらいしか口にできなかったからな。 「おいしいですよ、長門さん」 こんな時まで格好つけたように、優雅にカレーを食する古泉。全くどこまで行っても余裕な奴だぜ。 しかし、長門は大丈夫なのか? 相当疲労もたまっているはずだろ。 「問題ない。身体・精神ともに異常は発生していない」 そうか。それならいいんだが、あまり無理はするなよ。 「今のわたしにできるのはこのくらい。できることをやる。それだけ」 「でも、あきらめるのが少し早すぎるのではありませんか?」 背後から聞こえた最後の台詞は俺でもないし、古泉でもない。どこかで聞き覚えがあるようなと思って振り返ると、 「なぜ、ここにいる」 長門の声。トーンはいつもと変わらないが、内面からにじみ出ている感情は【驚】だとはっきりと見えた。 声の正体はあの喜緑さんだったからだ。生徒会の人間であり、また長門と同じく宇宙的超パワーによって作られた 対有機生命体インターフェース……で良かったんだよな? 北高のセーラー服を纏っているが、 やたらとそれが懐かしく見えるぜ。 「私の空間・存在把握能力で確認した限り、ここには存在していなかったはず」 「この固定空間での時間座標で10分ほど前にこちらに来ました」 ひょうひょうと喜緑さん。ちょっと待て、最初はいなくてさっき来たと言うことは…… 長門はカレーをすくってお玉から手を離し、喜緑さんの元に駆け寄る。 「この空間に干渉する方法を有していると判断した。すぐに提供してほしい」 「残念ながら、それは無理です」 「なぜ」 「外側から必死にアクセスを試みて、本当にミクロなレベルのバグを発見することができました。 ここにはそれを利用して侵入しましたが、現在は改修されています。同じ手で、ここから出ることはできません。 思った以上にこの世界を構築した者は動きが速いです」 喜緑さんの言葉に長門はがっくりと肩を落として――いや、実際には1ミリすら肩を動かしてもいないんだが、 俺にはそう感じた。 「不用意。打開のための機会を逃したのだから」 「すみません。外側から一体どんな世界になっていたのかわからなかったんです。 まさか、こんな得体の知れないものが構築されているとは思いもよりませんでした」 めずらしく非難めいたことを言う長門を、あの生徒会室で見せていたにこにこ顔で受け流す。 「しかし、一つの問題からこの世界に介入することが可能だったのは紛れもない事実です。 なら、まだ別の方法が残されていると思いませんか?」 「…………」 喜緑さんの反論じみた台詞に、長門はただ黙るだけだ。 どのくらいたっただろうか。俺のカレー皿が空になったが、空腹感が埋まるにはほど遠くおかわりがほしいものの、 なんだか気まずい雰囲気の中でそれもできずにどうしたものかと思案し始めたくらいで、 「わかった」 そう返事?を長門はした。さらに続ける。 「協力を要請する。この空間に関しての情報収集及び正常化を行いたいと考えている。 ただし、私一人では効率的とは言えない。状況は悪化の一途をたどっているため短時間で完了する必要がある」 「もちろんです。そのためにここに来たのですから。お互い、意志は別のところにありますが、 現在なすべき目的は一致しています。問題はありません」 なにやら交渉がまとまったらしい。二人は食糧配給所の教室から出て行こうとする。 おいおい、こっちの仕事はどうするんだ? 「するべきことができた。そちらを優先する。現在の仕事は別の人間に変わってもらう。問題ない」 「砲撃の指揮はどうするんだ?」 「そちらは続行する。今持っている情報を精査した中では、私がもっとも的確にそれが行えると判断しているから」 長門の言葉にほっと俺は胸をなで下ろす。あの正確無比な援護射撃がなくなったら、 正直この先やっていく自信もない。しかし、一方でこの非常識世界をぶっ壊してくれるならそうしてほしいとも思うが。 「どちらも行う。状況に応じて切り替えるつもり。その時に最も有効な手段をとる。どちらにしても」 長門は俺の方に振り返り、 「私はあなたを守る」 ◇◇◇◇ さて、なにやら長門が頼もしい事を言ってくれたし、 少しながらこのばかげた戦争状態から脱出できる希望が見えてきたわけだが、 どのみちもうしばらくは俺自身もがんばらなければならないことは確実だ。 そのためにはいろいろとやるべきこともあるだろうが、 「台車でカレーを運搬するのを護衛するのは何か違うんじゃないか?」 「いいじゃないですか。腹が減っては戦はできぬというでしょう。これも生き延びるためです」 俺の誰に言ったわけでもない愚痴を、古泉がいつものスマイル顔で勝手に返信してきた。 今俺たちは、学校から前線基地へ移動中だ。別に散歩しているわけではなく、 2台の台車に乗せたカレー満載な鍋とご飯の詰まった箱を載せて、それを護衛している。 まあ、ストレートに言うとハルヒたちに夕飯を届けている最中というわけだ。 しかし、武装した10人で護衛して運搬するカレーとは一体どれだけの価値があるんだ。 「美味しかったじゃないですか、長門さんのカレー。犠牲までは必要ありませんが、厳重・確実に 涼宮さんたちに届ける価値は十分にあると思いますよ」 「それに関しては別に否定しねえよ」 実際にうまかったしな。腹が減っているからという理由だけではないほどに美味だったぞ。 護衛を担当しているのは、俺と古泉、他北高生徒10名だ。とは言っても、俺と古泉の小隊の生徒はいない。 さすがに疲労の色も濃かったので、今の内に休ませている。国木田もだ。今ここにいるのは、 その辺りをほっつき歩いていた生徒をかき集めて編成している。だんだん気がついてきたが、 生徒一人一人の戦闘における能力は全く同じだ。身体能力も銃の扱いも。そのため、生徒を入れ替えても 大した違和感を感じない。 そんな中、俺と古泉はカレー護衛隊の一番後ろを務めていた。古泉がこの位置を勧めていたのだが、 どうせ何か話したいことがあるんだろ。 「せっかくですし、お話ししたいことがあるんですが」 「……俺にとって有益なら聞いてやる」 「有益ですよ。それも命に関わる話です。ただし、内容はいささか不愉快なものになるかもしれませんが」 気分を害するような話は有益とは言えないんじゃないか? まあ、そんなことはどうでもいいが。 古泉は俺が黙っているのを勝手にOKと解釈したのか、いつもの解説口調で語り始める。 「まず、率直にお伺いしますが、あなたが生き残って鶴屋さんが亡くなった。この違いはなぜ起こったと思いますか?」 「俺は腰を抜かしてとっとと逃げ帰った。鶴屋さんは勇敢に戦い続けた。それだけだろ」 「言葉としては同じですが、意味合いは違うと思いますね」 どういう意味だ。もったいぶらないでくれ。 「敵は最初からあなたと鶴屋さんが植物園まで撤退することを阻止しようとしていなかったんですよ。 だから、あなたは犠牲者は多数でましたが、意外とあっさり戻れています。 これは、敵の目的は涼宮さんに自らの決定した作戦でぼろぼろに逃げ帰ってくる生徒たちの姿を 見せつけようとしていたのではないでしょうか」 「おい待て、それだと鶴屋さんもとっとと逃げれば死ななかったって言う気かよ?」 「率直に言ってしまえば、その通りです」 なんだかむかっ腹が立ってきたぞ。おまえは鶴屋さんの命をかけてやったことを非難するつもりなのか? どうやら俺の内心ボイスが表情に浮かんできていたのか、古泉はあわてて、 「いえ、別に鶴屋さんの判断が間違いだったとは言っていません。逆に、敵から主導権を奪い去ったという点では、 これ以上ないほどの英断だったと思いますね。おかげで敵は一部の作戦を変更する必要までできた」 「公園南部を散らばった鶴屋さん小隊を追いかけ回す必要ができて、さらにロケット弾発射地点を守る必要ができた。 そのくらいなら俺にだってわかる」 「それだけではありません。敵は鶴屋さんを仕留める必要に迫られたんです。 必死にあなたたちを鶴屋さんと合流させなかったのはそれが理由だと考えていますね」 「何だと?」 「敵は涼宮さんに逆らう――そこまで行かなくても反抗する人物なんていないと踏んでいたのでしょう。 見たところ、ある程度は涼宮さんとその周辺の人物の下調べも行っているようですし。 ところが真っ先に鶴屋さんは涼宮さんの指示を拒否して、自らの意志で行動した。 これはこの状況を仕組んだ者にとって脅威であると映るはずです。明らかに予定外の人物ですからね。 だから、あの場で確実に抹殺する必要に迫られた。今後の予定に影響を及ぼさないためにも」 古泉の野郎の言うとおりだ。なんだかだんだん不愉快になってきた。有益な情報はまだか? 「今、これを仕組んだ者はこう考えているでしょう。何とか鶴屋さんは抹殺できた。 ところがどっこい、今度は別の人間が涼宮さんに反抗――それどころかある程度コントロールした。 ならば、次の標的は当然あなたですよ」 古泉の冷静な言葉に俺はぞっとする。突然、周辺の見る目が変わり、その辺りの物陰に敵が潜んでいて、 今にも俺を狙撃しようとしているんじゃないのかという不安が頭の中に埋まり始めた。 「ご安心ください。そんなにあっさりとあなたを仕留めるつもりはないと思いますよ。 なぜなら、あなたは涼宮さんにもっとも影響を与える人物です。敵も扱いは慎重になるでしょう。 下手に傷つけて一気に世界を再構築されたら、元も子もありませんからね」 古泉は俺に向けてウインクしてきやがった。気色悪い。 まあ、しかし、確かに有益な情報だったよ。敵が俺を第一目標としながら、早々に手を出せない状態らしいからな。 うまく利用できるかもしれん。珍しくグッドジョブだ古泉。 「僕はいつもそれなりに良い仕事をしているつもりですよ」 古泉の抗議じみた声を聞いた辺りで、ようやく前線基地の到着した。 ◇◇◇◇ なにやら前線基地ではあわただしいことをやってきた。窓を取り外したり、どこからか持ってきた鉄板を廊下などに 貼り付けている。ハルヒはここを要塞にでもするつもりか? そんな中、ハルヒはトランジスターメガホン片手に指示をとばしまくっていたが、 「くぉらあ! キョン!」 俺の姿を見たとたんに、飛び出してきた。やれやれ、どうしてこいつはこう元気なんだろうね。だが―― 「あんたね! 帰ったなら帰ったと一番にあたしに報告しなさいよ! いい? あたしは総大将にして総指揮官なの! 常に部下の状況を把握しておく必要があるってわけ! 今度報告を怠ったら懲罰房行きだからね!」 怒っているのに、顔は微妙に笑顔というハルヒらしさ満点だ、と普通の人なら思うだろ。 でもな、付き合いが長くなってくると微妙な違いに気づいちまったりするんだ、これが。 ハルヒは運んできた台車上のカレー鍋をのぞきこみ、 「なになに? カレー? すっごいじゃん、誰が作ったの?」 「長門だそうだ」 「へー、有希が作ってくれたんだ。じゃあ、みんなで遠慮なく食べましょう」 ハルヒは前線基地の建物に戻ると、 『はーい! よっく聞きなさい! 何とSOS団――じゃなくて、副指揮官である有希からカレーの差し入れよ! いったん作業を止めて休憩にしなさい!』 威勢の良い声が飛ぶと、腹を空かした生徒たちがぞろぞろとカレー鍋に集まり始めた。 ただ、その中にハルヒはいない。 「では、僕はいったん学校に戻りますね。あとはお願いします」 そう古泉は何か言いたげな表情だけを俺に投げつけて戻っていった。言いたいことがあるならはっきりと言えよ。 俺は前線基地とされている建物の中に入り、 「おいハルヒ。せっかくの差し入れなのに食わないのか?」 そう玄関口に寝っ転がっているハルヒに声をかける。 「あたしは最後で良いわ。あんなにいっぱいあるんだし、残ったのを独り占めするから。 その方がたくさん食べられそうだしね」 「そうかい」 俺はヘルメットを取り、ハルヒの横に座る。 じりじりと日が傾き、もう薄暗くなり始めていた。がやがやとカレー鍋に集まる生徒たちの声が建物内に響いているのに、 「静かだな……」 「そうね……」 俺とハルヒは共通の感想を持った。 「あんなにいた敵はどこに行っちゃったのかしら。てっきりすぐにまた攻撃して来ると思ったのにさ。 ちょっとひょうしぬけしちゃったわ」 「来ないに越したことはないだろ。まあ、そんなに甘くはないだろうけどな」 ――またしばらく沈黙―― 「大体、何で連絡くれなかったのよ。いろいろ考えちゃったじゃない」 「何だ、心配してくれたのか?」 「あったりまえでしょ! 部下の身を案じるのは上官なら当然よ、トーゼン!」 ――ここでまた会話がとぎれる。そして、もう日がほとんど降りてお互いの表情も見えなくなった頃―― 「ねえ……キョン……あ、あのさ……」 「なんだ?」 「その……」 「はっきり言えよ。どもるなんて珍しいな」 ――それからまた数分の沈黙。俺はただハルヒが話を再開するのを待ち続け―― 「その……鶴屋さんなんだけどさ。なんか……言ってなかった?」 「何かって何だよ?」 「……恨み言とか」 俺はハルヒに気づかれないように、視線だけ向けてみる。しかし、もう辺りは薄暗く、その表情は読み取れなかった。 「そんなこと言ってねえよ。また学校で会おうだってさ。いつもと同じだった――最期まで」 「そう……」 ハルヒが俺の言葉を信じたのか信じていないのかはわからなかった。ただ、明らかに落ち込んでいるのはわかった。 いつものダウナーな雰囲気どころではない。完膚無きまで叩きのめされているような感じだ。あのハルヒが。 それを認識したとたん、激怒な感情がわき上がる。額に手を当てて必死に我慢しないと、すぐに爆発しそうなほどだ。 あのハルヒをこんなになるまでめちゃくちゃにしやがった。絶対に許さねえ……! ~~その5へ~~
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━━━━最近、冷え込みが厳しくなって来たせいだろうか、起きぬけの布団の中の温もりが愛しくてしょうがない。 目覚めてからの数分間の至福の一時・・・ そして日曜日の朝の今、俺はこの愛しき温もりを存分に堪能するのだ。 忙しい平日の朝には叶わない、細やかな贅沢。 しかし、この至福の一時には日曜と言えども、僅ながら制限が課せられている。 ほら、その『制限』が廊下をパタパタと走りながらそろそろ来る頃だ・・・ 朝のアニメを目当てに、無駄に早起きな『制限』がっ! ・・・「キョン君~おきろぉ~っ!」━━━━━━ 【凉宮ハルヒの休日@コーヒーふたつ】 俺は、毛布の裾を強く握りしめ、来たるべき妹の猛攻に備えた。 (だいたい「一緒にマイメロ観ようよ~」とか言いながら布団をひっ剥がすか、布団越しに俺の上に乗って飛び跳ねるんだよな・・・) ここで持ち堪えれば、昼までぬくぬくと布団の中で過ごせる。 俺は体制を保ちながら、布団の中で息を潜めた。 部屋のドアが開く音が聞こえ、妹の近付く気配がする。 (寝てるふり、寝てるふり・・・) 「キョン君~っ!寝てるの~?凉宮さんから電話だよっ?」 えっ? 俺は「たった今、目が覚めた」様な素振りをして見せながら、電話のある台所へと向かった。 まったく・・・携帯に電話してくれれば良かったのにな。 台所じゃ話し辛いし、しかも寒いだろうが。 やれやれ・・・と思いながら受話器を耳に当てると「もしもし」とも言い終わらないうちに、ハルヒの怒声が俺の耳を貫いた。 「ちょっとっ!何時間待たせんのよっ!」 「待たせたのは悪かったが『何時間』は大袈裟だろ!だいたい、携帯にかけてくれれば・・・」 「携帯が通じないから家にかけたのよ! どうせ寝る前にウェブでもやりまくって、電池切れになったまま寝ちゃったんでしょうけどっ?」 「ぐっ・・・(そう言われると、そんな気がする・・・)」 「しかも、どうせ観てたのはエロサイトね?あ~嫌だ嫌だっ!」 「おいっ!それは違うっ!・・・馬鹿な事言ってないで、さっさと用件を言えよ!」 「大至急、ウチに来て!」 「はぁ?」 「緊急なのよっ!わかったわね?大至急よっ!遅かったら死刑だからねっ!」 そう言い終えると、ハルヒは電話機にトドメを刺す様な勢いで、電話を切った。 (一体、何だってんだ?) さっぱり訳が分からないまま、俺は出掛ける支度をする。 適当にクローゼットの中から洋服を探し出し、着替えようと目の前に並べたところで、ふと重要な事に気が付いた。 (ハルヒの家に行くって・・・当然、日曜日だから親父さんやお袋さんも居るんだろうな・・・) 俺は、用意した「普段通りの服装」を元の場所に戻して、滅多に着ないジャケットと地味目な色のパンツを取り出す。 まあ、第一印象が肝心だからな。 そして、早々と着替えてコートをはおると、自転車に飛び乗りハルヒの家へと急いだ。 天気の良い日曜日だというのに、ハルヒの家の周りは静かだった。 いや!天気が良いからこそ、みんな何処かに出掛けたんだろうな。 それに比べて俺ときたら、ハルヒに都合よく呼び出されて・・・ とりあえず俺は、ハルヒの家族に対する挨拶の言葉を必死に探しながら、彼女の家の玄関へと向かう。 少しばかりではあるが、手土産も用意した。 (まあ、いずれこんな日が来るだろうとは思っていたが・・・緊張するな・・・。) 少し躊躇いながらインターホンを押すと『はい』とハルヒの声がした。 「ああ、俺だ。」 『ちょっと待って?今出るから』 やがて玄関のドアがガチャリと開き、ハルヒが顔を見せた。 「あがって・・・って、あれ?何でお洒落して来たのよ!」 「い、いや・・・ほら、親父さんとかに挨拶・・・」 「・・・アハハッ、馬鹿ねぇ!アタシ以外誰も居ないわよ。あ・・・そうとも言いきれないんだけど。」 「なんだ?それ。」 「まあ、いいわ!とにかくあがって!」 ハルヒは俺の手を引き、玄関からリビングへと導き入れた。 そして、リビングに入るなり自分の鼻先に人指し指を立てて「シーっ」と言う仕草をしながら、ソファーのある方を指さした。 ソファーの上には大きめの籠が在って、その中には・・・ ・・・赤ん坊が眠ってるっ! 「ど、どうしたんだ?それ!」 「あ・・・馬鹿っ!静かにって言ってるでしょっ?起きちゃうじゃないのよ!」 「す、すまん・・・」 「ちょっと、こっちに来て!」 ハルヒはそう言うと、今度はリビングからキッチンへと俺を引っ張った。 一息ついてから、再びハルヒに訊いてみる。 「で、どうしたんだ?」 「うん・・・。今朝ね?隣の祥子姉ちゃんが来て、午後まで預かってくれないか?って。」 「ええっ?お前、赤ん坊の世話なんかやった事無いだろ?しかも、どう見てもアレは0歳児だぜ?」 「ちがうの!親父も母さんも留守だったんだけどね? そこのスーパーの朝市に行くって言ってたから、すぐに帰ってくると思ったのよ。 母さんさえ帰って来れば別に問題無いと思ったし、祥子姉ちゃんもそのつもりで預けて行ったんだと思うんだけど・・・」 「思うんだけど・・・どうした?」 「さっき、親父から電話があって『天気が良いから、このまま母さんとデートしてから帰る』だってさ。 コッチの話なんか聞かずに、言いたい事だけ言って電話を切っちゃうのよ?困ったもんだわね!」 なるほど!その親にして、この娘在り・・・と言うところだな。 「それで、俺に電話をしたと?」 「ふふん、そういう事。まあ、二人でやれば何とかなるでしょ!」 何とか・・・って。 やれやれ、とんだ日曜日になりそうだ。 しかし、赤ん坊の世話なんて何年ぶりだろう。 妹が生まれた時は・・・とにかく嬉しくて、母親に色々訊きながら子供ながらにも一生懸命世話をしたっけ。 はたして今、その内容を覚えているものだろうか。 俺は、かつての記憶をなんとか思いだそうとしてみる。 すると、ハルヒが突然声をあげた。 「あれ?ねぇ、キョン! 赤ちゃんの声が聞こえない?」 「ん・・・ああ、本当だ!おそらく、起きたな。」 (たしか・・・起きたらオムツを替えて、ミルクをあげるんだったよな。) 「おい、ハルヒ!オムツを用意してくれ! あと、お湯で濡らして絞ったタオルもな。」 「え?ああ、わかった。」 俺は、赤ん坊に近付くとハルヒからオムツを受取り、それまで赤ん坊が着けていたオムツを手早く外す。 タオルが冷えてない事を確かめると、赤ん坊の股をサッと拭き新しいオムツを履かせた。 「随分、手慣れてるのね・・・」 「ん?ああ。妹が生まれた頃によくやってたからな。 ところで、ミルクは?」 「一応、「作り方」見ながら作ったけど・・・」 ハルヒはそう言いながら、珍しく自信無さげに捕乳瓶を差し出した。 俺は、それを受取りながら温度を確かめる。 「もう少し冷ます様だな。捕乳瓶ごと振って、人肌の温度くらいまで冷ますんだ。なかなか冷えなかったら、水道の水で冷やしてくれ。 でも、冷やしすぎに注意するんだぞ?」 「う、うん!」 ハルヒに言い終えてから、俺は少しだけ自分自身に驚く。 我ながら意外と・・・記憶に残っているものだ・・・。 しばらくすると、ハルヒが捕乳瓶を持って戻って来た。 俺は、赤ん坊を抱きかかえながら、ミルクを飲ませる。 そして、飲ませ終ると赤ん坊を横に抱いた状態から静かに縦に抱き直し、赤ん坊の背中をトントンと指先で軽く叩いた。 その様子を、ハルヒが不思議そうに見ている。 「ねえ、キョン?何やってんの?」 「こうやって、ゲップをさせてやらないと吐いちゃうんだ。赤ん坊は自分でゲップが出来ないからな。」 「ふ~ん。」 ハルヒは、頷きながら何か考えている様な素振りをすると、急に納得した様な表情を見せた。 「ん?どうした?」 「うん。なんとなく、妹ちゃんがキョンにベッタリな理由が解る気がしただけ。」 また訳の解らん事を・・・と思いながら、俺は抱いている赤ん坊に幼い頃の妹の表情を思い出して重ねてみる。 (帰ったら、少しだけ妹のゲームの相手でもしてやるかな・・・) 気が付くと、赤ん坊は再び眠りについていた。 俺は、元の場所に赤ん坊を寝かせると、ハルヒと一緒にリビングから先程のキッチンへと場所を移した。 ハルヒはキッチンに立つと「まあ、適当に座ってよ。」と言いいながら、お茶の用意を始めた。 俺は、そんなハルヒの姿を見ながら「思った程、悪くない日曜日だな・・・」と思う。 しかし、そんな気持ちは次の瞬間に脆くも崩れ去った。 「ふぎゃ~ぁぁああっ!」 リビングから赤ん坊の泣く声がする! ひと息いれようとキッチンに来た俺達は、ものの数分でリビングへと呼び戻されてしまった。 (やれやれ、お茶くらい飲ませて欲しいぜ) 激しく泣いている赤ん坊を見ながら「何で泣いてるのかしら?まさか、もうお腹がすいたとか?」とハルヒが首を傾げる。 俺はオムツが濡れていない事を確かめると、「何かオモチャみたいなヤツは無いか?それかオシャブリとか・・・」とハルヒに訊いた。 ハルヒは「ちょっと待って?」と言いながら、赤ん坊の母親から預かったと思われるトートバックをガサガサと覗きこむ。 「おかしいわね・・・。オシャブリがあったと思うんだけど。」 「無いのか?」 「んー、見当たらないわ・・・」 まったく、ハルヒはいつもそうだ。 いつぞやの課題のノートも然り、とにかく無くし物が多い。 俺は少しイヤミを込めて「無ければ自前でなんとかしたらどうだ?」と言ってみる。 「あ、そうか。それは名案ね!」 (いっ?冗談のつもりだったのに・・・) 「ちょっと!キョンは向こう向いてんのよ? アンタを喜ばせる為に片乳出す訳じゃないんだからねっ!」 そう言うと、ハルヒはシャツのボタンを外し始めた。 「ほら!向こう向いてなさいよっ!エロキョン!」 エロキョン・・・とはあんまりだ。 俺は仕方無く壁と向き合い、耳のみでハルヒの様子を伺う事にした。 赤ん坊は・・・泣きやんだ様だ・・・。 「うふふっ・・・いゃだ、くすぐったいわね・・・」 なんとなく気になって、ハルヒにバレない様に少しづつ振り返る。 すると、昼下がりの柔らかい陽射しに包まれたハルヒと、ハルヒに抱かれながら乳房に顔を埋める赤ん坊が、まるで本物の親子の様に俺の視界に飛込んできた。 ハルヒが優しく、赤ん坊に微笑みかけている。 なんだか、胸の奥がじんわりと暖かくなる。 (もしも、俺とハルヒが結婚したら・・・こんな光景に、また巡り逢えるのだろうか・・・) 俺は、ぼんやりとそんな事を考えながら、こっそりと二人を見つめ続けた。 しばらくして赤ん坊も落ち着きを取り戻し、ハルヒも今更ながら「もう、こっち向いていいわよ!」と言うので、俺は元の姿勢に体を戻した。 気が付くと、時計の針は午後の1時を回っていた。 「そろそろ、祥子姉ちゃんが迎えに来るわね・・・」 ハルヒが寂しそうに呟く。 たしかに、こんなに大変だったにもかかわらず、いざ居なくなると寂しいものだな。 「携帯でさ、赤ん坊の写真でも撮るか?」 そんな気やすめを言ってみた瞬間、インターホンが「ピンポーン」と鳴った。 ハルヒは「ちょっと待ってて?」と俺に告げると、赤ん坊の眠る籠を静かに持ち上げながら、玄関へと向かった。 そして数分後、がっかりした顔でリビングへ戻って来た。 「あーあ、帰っちゃった。・・・つまんないの。」 「仕方が無いだろう?まあ、将来に向けて育児の予行演習が出来たと思えば、このうえないじゃないか!」 「予行演習・・・ねぇ。」 そう呟いた途端に、ハルヒは少し頬を赤らめながら『いい事思い付いたっ!』の時の顔をした。 「な、なんだ?」 「ふふっ、ねえキョン?育児の予行演習の後は、その前の段階の予行演習をやるって事でどう?」 「はあ?」 「もうっ!鈍感ねっ!親父も母さんも、夜まで帰って来ないのよ?」 ハルヒはそう言いながら俺の側に詰め寄り、肩に頬をすり寄せる。 (なんだ・・・そういうことか。) 俺はハルヒの顔を、覗き込むように見つめながら「ふん、さっきは人の事をエロキョン呼ばわりした癖に。」と意地悪っぽく囁く。 そして、ハルヒの唇が小さく「ゴメン」と動くのを確認して、少し長めのキスから始めた。 おわり
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突然だが、そいつは夏の暑い日に襲ってきた。 いつも通り長門の本を閉じる音でSOS団の活動を終了し、みんなが帰り支度を始めた。 実際活動と言っても俺と古泉はオセロをエンドレスで、ハルヒは朝比奈さんをいじくり回し、 長門に限っては一言も喋らずに延々読書をしてただけだが。 「では、僕はお先に失礼します。文化祭のことでクラスの皆さんと話し合わなくてはならないので。」 「あの~、私も話し合いがあるので・・・今日はこれで失礼します。」 「みんな大変ねぇ・・・有希はなにかあるの?」 「・・・話し合い。」 長門ははたして話し合いに参加するのだろうか?何にも言わなそう気がする。 まぁ、暇なクラスはうちだけだろ。何が好きでアンケートなんかに決定したんだか。 「じゃああんたが何か考えれば良かったじゃない。たとえば裸踊りとか。」 誰がそんなもん見に来るか。裸踊りがしたいならハルヒ、お前がやればいい。 「いやよそんなの。第一私がしたらただの変態じゃない。それくらいの事も分からないの?」 あのな、言い出したのはそっちなんだが。まぁいい、さっきのは軽く聞き流して無かった事にしよう。 「そんなこと言ってないで早く出なさいよ。鍵閉めなきゃいけないんだから。」 分かったから大声出すな。鼓膜が破れる。 「分かった分かった。出ればいいんだろでr・・・」 その瞬間くらっときた。たぶん寝不足が原因の一時的な物だろう。焦る事はないな。 「さぁ、とっととで・・・さ・・・」 何だ?耳が聞こえない・・・耳鳴りか・・・ 「ちょ・・・キ・・ン、きいt・・キョン?」 ハルヒが心配そうな顔でこちらを見ている。なんだ?そんなに変な顔になってるのか? 「・・・ぁ・・ハ・・・・ぶ・・・」 声が出ないばかりか視界がぼやけてきやがった。 「k・・・!?」 なぁ、何を言ってるんだハルヒ。もっと聞こえるy・・・・だめだ・・・何も見えない・・・ 目の前が真っ暗だ・・・ ドサッ 「!?ちょっとキョン!?大丈夫!?ねぇキョン、起きて、起きてよキョン!!」 う、う~ん・・・ここはどこだ・・・? 何でこんな場所に・・・ええっと、何がどうなってこうなってるんだ? 確か部室でハルヒと話してて、そしたら目の前が真っ暗になって気づいたらここにいた。こんなもんか、やけに冷静だな俺。 「キョン・・・?気がついた?大丈夫?」 「ああ、何とかな。少しくらっときただけだから大丈夫だ。」 「そう・・・よかった・・・」 あれ?てっきりバカにしてくるんじゃないかと思ってたがその予想とは裏腹に本気で心配してくれていたようだ。 もしかして明日は豪雨や雪や雷三昧なんじゃないだろうか。・・・それは失礼か。 「おやっ?お目覚めですか?」 って古泉!?お前いつからそこにいたんだ!?というか顔が近い、息吹きかけるな気持ち悪い。 「これはこれは、失礼しました。」 まったく・・・こういう事は朝比奈さんか長門にしてほしいもんだ。 ウホよりそっちの方がよっぽど嬉しい。 「涼宮さんからあなたが倒れたと聞いたもので話し合いを放棄して駆けつけたのですよ。 ほら、長門さんも朝比奈さんも。」 お前は駆けつけなくてもいい。話し合いをし続ければよかったのに。 「キョンく~ん、良かったぁ~~あたし、倒れたって聞いたとき・・・グスッ・・・」 朝比奈さんは涙たらたらで最後の方は詰まって聞こえなかった。 心配かけて申し訳ない。 「・・・」 長門はと言うとやはりいつものようにこちらを見つめていた。 でも、少しは心配してくれてるみたいだ。そんなオーラが漂ってるんだが気のせいなのかね。 「軽い熱中症でしょう。少し休んだら良くなりますが念のため病院に行った方がいいでしょうね。」 そうだな。ここは素直に病院に行った方がいいだろう。 「ま、これぐらいでへこたれてたらSOS団の団員なんかつとまらないわ。さっさと病院行って治してきなさいよ。」 さっきの心配顔はどこへやら、眉は怒り口が笑ってるという器用な笑みを浮かべたハルヒがそこにいた。 と言うわけで今俺は病院に向かう真っ最中なのである。 ちなみに、病院なんてものは年に1回行くか行かないかぐらいの公共施設だ。 予約はしてなかったので20分ほど待って診察5分。まったくもって理不尽な気もするんだが。 やれやれ、後は会計をすますだけ・・・ん?なんか聞こえるな。 「○○からお越しの○○○○さん、診察室の方へどうぞ。」 てっきり終わったと思って帰るつもりだったのに。 まぁいい、初診だったから手続きとかなんやらあるんだろうな、きっと。 「どうぞ、そこに腰掛けてください。」 黒縁メガネをつけた何とも真面目そうな医者が着席を勧める。 「あの・・・なにか?」 「大変言いにくいことなのですが・・・ 保護者の方の連絡先教えていただけますか?」 どういうことだ。まさか検査入院か。いや、検査ぐらいだったらまだいい。 本気の入院で長い間病室ぐらしとかいやだぞ。 せめて通院ぐらいならいいんだが。 「何かあったんですか?」 「いや・・・別に。とりあえずご両親とお話しがしたいので。」 当の本人は無視ですか? 「理由がないなら別に両親に話す必要は無いと思うんですが・・・ もしかして通院ですか?それとも入院ですか?」 「・・・いえ、そうではないですけど・・・正直に言いましょう。 あなたは 後一日、もって二日しか生きられません。」 え?ちょ、ちょっと待ってくれ。すまん。なんだって? 「酷な事を言いますが、寿命はあと1~2日です・・・ あなたの病気がここ最近でも稀に見る病気で、現代医学ではもはやどうすることも・・・」 「う・・・うそですよね?そんなこと。だってこんなにぴんぴんしてるんですよ? そんな簡単に死ぬはずがn」 「残念ですが・・・もうその病気は体中の至る所を侵食しています。 本来なら動くのもやっとなはずです・・・」 もう医者の話なんぞ耳に入ってこなかった? 嘘だろ・・・死ぬのか、俺?まだ10数年しか生きてないんだぞ。なんかの間違いだろ・・・ まだしたいことだって沢山ある。端から見れば世界情勢に興味がない一般高校生なんだろうけどな・・・ それに・・・SOS団。あのはちゃめちゃでいつも100Wの神ハルヒ、myスウィートエンジェルである未来人の朝比奈さん、 無口だが一番頼りになる宇宙人の長門、それから・・・・言いたくはないが超能力者古泉。 俺はまだあそこに居たい。あいつらと一緒に遊びたい。わいわいがやがや非日常ストーリーを満喫したい!! もうそんなこともできないのかよ。畜生・・・ 「すいません・・・このことは親にはだまっといてもらえますか? お願いします。」 「・・・」 それ以上医者は何も言わなかった。 その後、家に帰る足取りは重く帰るとすぐに自分の部屋に閉じこもった。 そして泣いた。滝の様に涙があふれベッドは水びたしになった。 嗚咽を漏らしながら、ただただ泣いた。自分の生きるリミットに絶望しながら。 だからこそそこに一筋の希望を見つけようとしながら・・・・ チュンチュン ん・・ふぁ・・・・朝か・・・・ 気づいたら寝てたな俺。やれやれ、ベットの上がびしょぬれだ。 でも、泣いてる場合じゃない。これからやらなきゃいけないことがたくさんあるのさ。 どうせ死ぬんならやり残しのないように死にたいだろ。違うか? そう自分に言い聞かせたものの、学校に続く坂は精神的なものなのかはたまた肉体に限界が近づいてるか、 そんなことはどうでもいいがいつもより長く長く感じられた。まるでフルマラソンだ。 正直横から谷口が沸いてこないことを祈る。チャックにつっこみを入れない日を作ってくれ ようやく自分の教室の前にたどり着いた。・・・ハルヒにはこのことを黙っておこう。 これ以上心配かけさせたくないしな。何気ない顔で教室に入りいつも通りに過ごせばいい。 それでいいんだ・・・それd 「おはようございます。昨日は大変でしたね。」 うおっ、古泉いきなり出てくるな!てか、顔ちかっ!!!離れろ、今すぐに。 「ハハハ、すいません。ちょっとお時間いただけますか?」 なんで朝っぱらからこいつに絡まれなければならんのだ。いけ好かない顔の野郎に。 朝比奈さんと長門なら大歓迎だが。 「で、何があるって言うんだ?単刀直入に頼む。」 「そうしたいのは山々なんですが、ちょっと人目のつくところではね・・・・ 別の場所で話しましょう。」 やれやれ、こんな事をしてる暇はないんだがな。 こうしてあの古泉がビックリ仰天エスパー発言をした場所にやってきた。 「で、話ってのはなんなんだ。くだらない事じゃないだろうな。」 「いえいえ、重要な事ですよ。少なくともSOS団という肩書きを背負ってる人全員にとってはね。」 「・・・言ってみろ。」 「では言わしていただきます・・・ずばり、あなたはもう体が持ちませんね? それも一ヶ月二ヶ月単位じゃない。一~二日が限度のはずです。」 な、何でこいつが知ってるんだ?誰にも言ってないはずだ。どっから情報が・・・ そうか、あそこの病院にも機関への協力者が居るのか。別の病院にいっとけばよかったな・・・ おそらくそうであれば隠し通すことはザルで水をすくうぐらい無駄なことであろう。観念した方がよさそうだ。 「ああ、まったくもってその通りだ。言いたいことはそれだけか?」 「驚かないのですか?僕はもっとあなたが取り乱すと思ってましたが。」 当たり前だ。刺されたり神人とやらに出会ってたりおまけに閉鎖空間に閉じこめられたとなれば こんな事は象にたかる一匹の蟻のようなもんだ。 「なら、本題に入らせていただきます。 この件、長門有希と朝比奈みくるには言わないでもらいたいのです。」 おいこら。ハルヒならともかく朝比奈さんを呼び捨てにするな。 だいたい俺の残り少ない人生だ。どう使ってもかまわんだろう。 「失礼しました。けど忘れないでください。長門さんや朝比奈さんが属している組織にはいろいろな派閥があります。 たとえ彼女ら自身が何もしなくても、彼女らを通じて情報を得た他の・・・たとえば急進派などが 何らかのアクションを起こすことは容易に想像できます。もしかすると本人達が危険にさらされる自体になるかもしれません。」 考えてみればその通りかもしれんな。これ以上SOS団他の団員及び他の人々に迷惑なんかかけたくない。 「すいません、このようなことしか言えなくて。機関は関係無しに僕自身も非常に残念に思いますよ。」 あまりお前には残念に思ってほしくはないがな。 まぁ忠告はありがたくとっておくぜ。たぶん今までで一番役に立った話だろう。 キーンコーンカーンコーン 「予鈴ですか、もうそろそろ退散した方が良さそうですね。それでは。」 そういって古泉は去っていった。やれやれ、俺も教室に上がるか・・・ 授業なんてものはハルヒとの無駄話であっという間に放課後になり 俺は真っ先に文芸部もといSOS団所有の部室へとむかった。 ちなみに寿命のことは一言も言ってない。断じて。 どうせ分かることだ。ハルヒのあの心配そうな顔もみたくないしな。 そんなことを真剣に考えていたがやっぱり俺も男だったようで 朝比奈さんのメイド姿を妄想する比重の方がいつのまにか大きくなっていた。 悲しいな、男って。 コンコン いつも通りノックして入ると部室専用のエンジェル及び水晶玉の目を持った文芸部員がそこにいた。 「あっ、キョン君。もう大丈夫なんですか?」 ええ、あなたの顔を見ると元気百倍ですよ。どんな病気でも治ります。 「うふっ、待っててください。今お茶入れますね。」 その言葉と共に朝比奈さんは台所―――部室に台所があるのはいかがなものであろう―――に向かっていった。 ・・・この姿を見るのも今日で最後なんだろうな。畜生 いつの間にか俺の目からは涙が流れていた。涙もろくなったもんだなぁ、おい。 ところで長門、その透き通った目でこちらを見るのはやめてくれ。ほんとで泣きたくなっちまうから。 お前にはさんざん世話になりっぱなしだから迷惑かけたくないんだ。頼む・・・ 「はぁい、お茶はいりましたy・・・キョン君目が赤いけど大丈夫?」 「大丈夫ですよ、ただ目にゴミが入っただけです。」 いかんいかん、このままではばれるのも時間の問題だ。早く来いハルヒよ。 バンッ 「いやーごめんごめん、岡部に絡まれちゃってさぁ。あの先生、熱いのはいいけど暑苦しいのよねぇ。 もうちょっと影を薄くしたらいいのよ。ふ○わみたいに。」 来た。しかも悪口を言いながら。失礼極まりないだろ。 「うるさいわね。私がふか○っていったら○かわなのよ。それ以外の何者でもないが。」 すまん、ハルヒ。日本語でおkだ。 「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。今日はなにしようかし・・・ってキョン、あんた目が赤いわよ。」 痛いとこついてきやがった。何でこう言うときに敏感なんだよ。 「いや、ゴミが入ってただけだ。気にするほどでもない。」 「ダメよそんなの。早く処置しなきゃ!」 そんなこと言ったって部活はどうするんだ。途中退場なんてしたかないね。 「むぅ・・・分かったわ。今日の部活は無し!キョン、早く病院に行きましょ。」 おいおい、何でお前までついてくるんだ。 「だってこの間みたいに倒れたら大変でしょ。だから私が・・・ってなんでこんなこと言わせるのよ。 いいからとっとと来なさいよ。」 やれやれ。まぁ話す場所ができたからよしとするか・・・ 「じゃあ有希、みくるちゃん、キョンを病院まで連れて行くから。」 「あ・・・はぁい。お気を付けて。」 「・・・」 そういうとハルヒと俺は部室から出て行った。 というかハルヒに引きずられながら。 これで本当にこの部室に足を踏み入れる事もないだろう。じゃあな、SOS団・・・ そして運命の時間がやってきた。そいつはハルヒと二人っきりになった今まさにこの時である。 「なぁハルヒ、病院に行くまでに話したいことがあるんだ。別にたいした事じゃないから 歩きながらでいい。」 「ふぅん、別にいいけど。」 「ならいうぞ・・・もし好きな人が後余命一日だ、何て時お前ならどうする?」 「なっ、い、いきなり何言うのよ!!バカキョン! ・・・・わ、私ならはっきり自分の思いを伝えるわよ。 どんな結果になろうともしない後悔よりはましなはずだもん。」 「そうか・・・」 「何よ、その返事?・・・ははぁ~ん、ひょっとしてだれか好きな人がいるんでしょ。 だれだれ、教えなさいよ。」 ・・・いいぜ教えてやるよ。 それはな、ハルヒ。お前だよ。なんだかんだいって俺はお前の事が好きなんだよ。 わらっちまうよほんと。最初お前に会ったときは変な奴って感じにしか見てなかったのにな。 いろいろやってるうちに惹かれていってしまった。閉鎖空間のときの告白、あれは戻ろうとして 我慢してやったんじゃない。少なからずお前に恋していたんだよ。だから悪夢で片づけられた時は 正直がっかりしたもんだぜ。だからな・・・はr それは突然やってきた。 前回のとは比較にならない眩暈。 並びに吐き気、耳鳴り、手足の痙攣、呼吸困難も併発。 内臓器官に異常発生。脳波異常。心拍数低下。その他障害が多々発生。 くそったれ・・・俺はここでおわっちまうのかよ・・・ まだだ、まだおれはしたいことをし終わっちゃいない。 今しないで何時するんだ。ああ? 言うんだ。全気力を振り絞って。 動け!!!俺の体!!! 「それはな・・・ハルヒ・・・・・お前の事だ・・・ 俺は・・・お前が・・・すk・・・」 そういうと俺は目の前が真っ暗になった。 体は地に落ちながら・・・ 「えっ?う・・・嘘でしょ?ちょっとキョン?大丈夫?ねぇキョン起きてよ、ねぇったら!! お願い、目を覚まして!!ねぇったら!!!」 地球の日付及び時間200X/07/XX 16 XX XX 発生座標[1561.9901] かつてより観察対象であった[涼宮ハルヒ]が情報爆発を発生させた。 この爆発により閉鎖空間が発生。 対抗手段はもはや存在しておらず、通常速度の30倍の早さで拡大。 およそ20分後に地球を覆う。25分後には通常空間と閉鎖空間が入れ替わり そのどちらも修復されることなく消滅。事実上地球という惑星はこの宇宙から無くなり 人間のいう生態系の進化の可能性は失われた。観察用インターフェイスは既に回収済みである。 どうやら情報によると爆発の原因は涼宮ハルヒにとって関係がある 人間の死によってもたらされた言われている。 この情報はきわめて不確定のため真偽は不明。 犠牲報告は次のとおりである 人間 ・・億人 ・・・・ ・・ ・・・ ・・ ・・ ・・・・ ・ ・・・ 以上 BADEND